第13章 Re:Start【緑間真太郎】
最近新作の桃フレーバーのドリンクが出たせいも相まってか、オフィス外の人もかなり多く、カフェは昼時らしい賑わいだった。
「桃のやつまだあるって!」
「ちょーおいしそう!でもあたしマンゴーも捨てがたい!」
大学生かおとなびた高校生か、並ぶ間に手渡されたメニューを見ながら友達同士で嬉しそうにドリンクを選んでいる。
楽しそうだななんて見てると、ひとりがパタパタとデニムのぽっけを触ったり、リュックの中を探したりし始めた。
「えっ…ちょっと待って、お財布ない‼」
「えっ⁉講義室に忘れたの⁉」
「多分…え、家かな?えーーーごめーん。。今日ここじゃなくていい?」
「いや、財布なきゃどこでも食べれないでしょ(笑)だから電子決済1個持ちなっていったじゃん。今日はあたし出しとくからここで食べちゃお。次の講義、外傷性腹腔内出血のやつだし絶対落とせないじゃん」
あ、この子達
医学部か
懐かしい
「予習してきた?」
「もちろん」
「さすが凛。財布は忘れても予習は忘れんってか」
「もー…ホントごめん。恩に着ます。理央ちゃん」
ごそごそと漁ってたリュックを背中に背負いなおして、二人の番が来ると、結局二人そろって桃とヨーグルトのシャーベット系のドリンクを頼んでいた。
「あと、このバジルソーセージのパン2つ下さい」
「えっ…いいよ!」
「いいから、ちゃんと食べて、今度5倍返しでいいから!」
しっかりものの理央ちゃんと、ちょっと抜けてるけどお勉強は抜かりなしの凛ちゃんか。
にしても、5倍返しって…(笑)
それはぼったくり過ぎでしょ。
でも凛ちゃんはそれが冗談だってことは分かっているのか、笑いながら「承知です!」なんて可愛く答えていた。
「凛、初期研修マッチした?」
「うん!海浜付属。」
「志望動機なんて書いた?」
「人の命を救いたいからって書いた。取り繕っても意味なさそうだからホントそれだけなんだけど。理央ちゃんどこ行く?」
「都総合。ちょっと遠いけど研修入っても会おうね」
「うん!」
会話の内容から、二人は6回生かな…なんて思いながら順番を待って、自分の番が回ってきたとき
大きな爆発音と
地震のような揺れ
何事かととっさに身を屈めて外を見ると、保育園の方が煙に包まれていた