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【黒子のバスケ】短編集

第12章 分からない男【赤司征十郎】


話してくれたことへの嬉しさだったのか、秘密を知ってしまったような高揚感だったのか、あるいはどちらでもなく説明のつかない感情だったのか。

ただ一つ確かなのは、小橋は征十郎には幸せになってほしいと心から願わざるを得なかったことだ。


赤司家の御曹司が、一般家庭の女性と結婚することなど常識では考えられない。

これを通すのは並大抵の事ではなかったが、征十郎は彼女でなければ結婚はおろか、子孫を残すことすら拒絶するつもりだった。























征十郎は、父から投げられた再建に期限を大幅に上回る1年7か月で目途をつけた。

再建計画は充分に実現可能であり、様々な情勢を考慮した上で3つのプランが構築された。
そしてそれを実践できる人材もそろえた。

再建をする間に母体から吸収するだけだった資金を母体に返還する計画まで整えられていた。


黒字化は計画遂行から3年後
母体からの過去5年の赤字補填の返還終了は7年後

短期計画ではないにせよ、事業を切り捨てる必要はなくなった。







その3年後、征十郎の計画通り事業は黒字化
従業員に対し決算賞与を支給できるまでに業績は回復し、母体への返済計画は7年から6年半に短縮された。


口には出さないものの、征十郎のビジネスセンスはすでに世界に通用するものとなりえていることは征臣も認めざるを得なかった。

征臣から投げられた再建をする間、海外のインフラ事業で特許を持つ会社との業務提携の契約を締結。

海運業の貿易会社と独自の輸出入のルートをもち、社内製品の輸出入に関しての大幅な経費の削減と、安定した輸出環境の整備。
そのルートに他社製品を相乗りさせることを組み込むことにより得られる莫大な収入はグループ売り上げの8%、純利益は12%を占めた
最も利率の高い手数料ビジネスを数年で構築し稼働にこぎつけた。


征十郎が管理監督するグループ企業は、9割が前年の決算内容を上回る結果を出した。

赤字企業ももちろん存在するが、前年よりも大きく悪化している企業は1社も出さなかった。


征臣は国内外の経済界で最も力のある人物と言われていたが、息子である征十郎はその征臣のビジネスセンスをはるかに凌ぐ手腕を持ち合わせていることはだれの目にも明らかだった
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