第9章 Fated【青峰大輝】
退院後も連絡は取り続けて、時間が合えば会う関係から、夕飯を一緒に食うようになって、泊まることが増えていった
そして、いつの間にか一緒にいることが当たり前になって、お互いの家を行き来してた。
「つばき、一緒に暮らすか?」
「え?」
「いや、嫌なら無理にってことじゃねぇけど」
「え、嫌とかじゃなくて…あたしたちの関係がよく分かんない」
は?
そんなんこんだけ一緒にいんだから付き合ってんだろ?
いや、俺好きだって言われたことねぇか…
確かに一緒にいるのが日常になったけど、SEXどころかキスもしてねぇ。
いや、してぇけど。
あんなことがあったつばきに簡単に手を出すってのはできなかった。
「なんであたしと一緒にいてくれてるのか分からないんだもん」
「そんなんお前が好きだからに決まってんだろ」
自分で言って気づいたけど、俺も好きだって言ってなかった気がする。
「え?あたしのこと、好きなの?」
「好きじゃなきゃ一緒にいねぇだろ」
「でも一緒にいても全然手出さないじゃん」
「俺を好きかも分からねぇし、前の事もあんだからそんな簡単に手出せねぇだろ!普通!」
好きだからこそ手を出せなかった。
関係が壊れることも、怖いと思われることも怖かった
だから好きだってことも何となく言い出せなくて、言わないでいるうちに一緒にいる時間だけが長くなっていった
「あたし、もう怖いことないよ。大輝がいつも一緒にいてくれて、怖い事なんてないよ。でも大輝から警察の仕事を奪ったことがずっとずっと申し訳ないの」
「俺はお前に仕事を奪われたと思ったことは一度もねぇ。俺自身が、俺のために決めたことだ」