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【黒子のバスケ】短編集

第9章 Fated【青峰大輝】


女はとっさに自分を庇うために腕を上げたことが幸いして、けがの程度としては重症ではなかったものの、入院は避けられず、傷跡も完全に消えることはないとの診断だった。

病院に寄ってからいつも通り警護課に出勤すると、さっそく上司から、安藤と一緒に呼び出しをくらった。



「お前たちは自分が何をしたか分かってるのか?」

「助けを必要とする人間を助けるのが仕事だ」

「違う。俺たちは所轄じゃない。警護課だ!要人の安全と命を守るのが仕事だ!」

安全が確認されたところで、警護が4人ついてる人間を守る必要がどこにあんだよ。

あの女は所轄を待っていたら間違いなく殺されていた。
命の危険がすぐそこに迫ってる人間を助けられないなら、警察にいる意味がねぇ

「俺は俺が正しいと思うことをする」

「課長。警護課にいて人を救えないのであれば、警護課などクソくらえです。本日限りで辞職させていただきます」

「安藤…貴様……辞職など必要ない‼今日付で懲戒免職処分だ。青峰、安藤にお前とバディを組ませたことが俺の最大のミスだ。せっかく警護課に引き上げてやったのに恩を仇で返しやがって」

安藤は期待の新人だった。
俺の半年後に配属になって、規律に厳しく命令には必ず従う奴だった。
従順な上にキャリアである安藤を課長はあからさまなくらい贔屓して、任務にも積極的に使ってた。

だから、あの時安藤が自分の命令に逆らうなんて思ってもいなかったはずだ。

「俺はお前らのせいで大臣から大目玉くらって、長官まで呼び出されたんだぞ!懲戒免職で済んでありがたいと思え!」

「別に呼び出されて怒られるくれー命取られるのに比べたらなんてことねぇだろ。バカ息子の警備優先して人が死んだらあんたどう責任取るんだよ。バカ大臣が息子を大事に思うように、あの女の家族はあの女を大事に思ってんだ。そんなことも分からねぇ上司の下でなんか働きたかねーんだよ」










俺と安藤は懲戒免職と言われたけど、結局内規違反には当たらなかったことから3か月の謹慎処分になった。





そして、俺たちが選んだのは退職だった。











「あーーあ。せっかくキャリア組だったのに。青峰さんのせいでクビんなっちゃいましたよ」

「あ?お前自己都合の辞職だろーが」
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