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【黒子のバスケ】短編集

第9章 Fated【青峰大輝】


ある出来事で、世間の注目を悪い意味で集めた要人の息子の警護を担当することになって、警備エリアの近況確認を含め準備を進めた。

該当エリアでは特に大きな事件はないものの、その付近に住む女からストーカーの被害届が出てることをその時に確認した。

「ストーカー被害が1件、コンビニ強盗でこれは解決済み、あとは置き引きとガキの喧嘩か…警護には影響なさそうだな」

要人警護は最低5~6人のチームで動く。
警備エリアやその周辺で重大犯罪が起きてて未解決ならチームを増員するけど、今回の場合は増員は必要なしと判断されて、俺を含む6人で警護に当たることになった。

建物正面出入口にB班の俺とクソ真面目で融通の利かないバディの安藤
裏口にC班の二人
食事会場入り口にA班の二人

夜間の警護で屋外部隊はただでさえ視界の確保がしにくいというのに、あの日は天気予報が外れて警護開始時刻には現場付近は小雨が降り始めていた。

警護を初めて30分
スーツのままでいるにはそぐわない雨量になったころ、室内警護のチームのトップからカッパの着用命令が出た。

「雨足が強くなっている。一人ずつカッパを着用して現場に戻れ」

「了解」

命令に従って、警備エリア付近に駐車した警護課の車両に安藤が先に向かって数分後、インカムで個別通話の信号を送ってきた。

「どうした」

「先日確認したストーカーらしき人物によく似た男と今すれ違いました」

「いまそいつ視認できるか」

「できません。車両駐車場南側、2本目の路地に入りました」


車両南側2本目…
被害届を出した女の自宅方面だ

迷ってたら手遅れになる。
確証なんてねぇけど、直感した。

だから俺は全員にインカムで別件の緊急事態を伝えて、現場を離脱しようとした。

「青峰、安藤。持ち場に戻れ。所轄を呼ぶ。持ち場から離れるな」


チームトップからの命令は絶対だった。
だけど俺はその命令に従わなかった。

「安藤!青峰!戻れ‼お前たちは警護対象を警護するのが任務だ!命令に従え!」

「危機の迫ってねぇ人間に警護4人いんだろ。俺は危険度の高い方を優先する」


警護車両までは走って2分
安藤が持ち場に戻るなら、必ずすれ違うはずだ。



だけど安藤はインカムに返事を返さず、持ち場にも戻らなかった。
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