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【黒子のバスケ】短編集

第9章 Fated【青峰大輝】


殺人容疑のかかる暴力団員を逮捕するため、1課と4課で合同捜査になった時、土地勘のある交番勤務からも数人捜査に参加して、その中に俺もいた。

そこで目をかけてくれたのがこの上司。
梅田剛捜査一課長

「そんな簡単な話ならとっくに俺が黙らせてる。警護課からは1年以上前からお前をうちによこせってずっと言われてた」

「はぁ?なんで俺なんだよ。希望者から選べばいいだろ。精鋭より取り見取りだろーが」

「まったく、お前は何にも分かっちゃいないな。お前の身体能力と勘の鋭さ、緊急度の高さを瞬時に判断する能力は上に立つ者なら誰だって欲しがる。俺だってそれを買ったから交番から捜一に移動させたんだ」

そんなこと言われたってよくわからねぇ。
柔剣道やら組手やら、そんなことは警察官になるなら当たり前に全員がやることで、特別強いわけじゃねぇし。

強いて言えば走るのは得意
運動自体がストレス発散になるから、未だにバスケはするし、ボクシングジムも行く。
だから、体力やら身体能力は常に運動してるからで、仕事のためってのと自分が好きでやってる両方だから別に褒められたことでもねぇ

それに、そもそも人を助けたくて警察官になったんだから、一般人よりは強くて、そこそこ勘が働かなきゃ守れるものも守れねぇ。

けどそんなん、どの警官だって持ってんだろ。

「それに、お前は見た目に反して正義感が強い」

「褒めてんのかけなしてんのかどっちだよ。親に謝れ」

「ははっ。そうだな。けど、ほんとにお前は、交番勤務でも年配の人や子供に親切で、酔っ払いの喧嘩の仲裁でもどっちにもケガさせずに収めてる。人を助けたいって思いが行動に出てるんだよ」

最初は仏頂面で不機嫌そうだったくせに、今は普段言わねぇようなことを次々言われて、なんか気持ち悪りぃような、けど、認められてたことが嬉しいような複雑な気分だった。

けど、捜一に残りてぇってのは変わらねぇ。

「だったら、梅田さんから掛け合って、辞令撤回してもらってくんねぇ?」

「無理だ」

間髪入れずに返された言葉は決定的で、この辞令は覆ることはねぇんだってことを悟った。
捜査一課長の意見が通らねぇってことは、もっと上の判断ってことになる。

どうあがいても、俺は来月からこの人の下を離れて、行きたくもねぇ警護課で要人警護の任務に着くことになる。
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