第8章 二人で 【火神 大我】
助手席に乗せたつばきからは少しアルコールの匂いがしたけど酔っぱらってる感じはしなくて頭を撫でると嬉しそうに俺に向いて笑ってくれた
可愛くて我慢できなくて頭を引き寄せてキスをするとグッと俺を引き寄せるように抱き着いて絡ませた舌をわざと噛まれた
これは…
言葉にはしねぇけどつばきからの夜の誘い
今すぐにでも押し倒したくなるのをグッとこらえて体を離すと熱っぽい視線に捕まってまた唇を重ねた
これだけじゃ全然足りねぇ…
「んっ…大我っ……早く帰ろ…」
「そうだな…」
甘い声とトロンとした顔に欲求が溢れて下半身が反応してるけどここで始めるわけにはいかねぇからため息を吐き出して車を出した
家に帰るルートと途中までは同じだけどいつもなら直進するところを今日は左折
「え……なんでこっち?」
「ちょっとな(笑)」
ほどなくして到着したホテルはカールトン東京
「今日はここに泊まろうぜ」
バレーパーキングで車を引き渡すとびっくりしてるつばきの手を引いて即座に部屋に向かった
「あたし泊まる用意ないっ」
「朝は一回家戻るから今日はこっち」
明日から出かける予定だけど今日は今日でちょっと特別なことがしたかった
なんだかんだ言って自分の誕生日をつばきと過ごして特別な日にしてぇのは俺自身
つい最近まで改装してた最上階のアクアリウムスイート
熱帯魚と水族館が大好きなつばきと絶対に泊まりたかった
壁に埋め込まれた巨大水槽には色とりどりの熱帯魚が泳いで水槽には夜景が反射してすげぇ綺麗で部屋に入った瞬間つばきは歓喜の声を上げて喜んでくれた
「気に入ったか?」
「気に入るに決まってるじゃんっ!てか、大我のお誕生日なのになんであたしがしてもらってるの⁉意味わかんないよ」
すげぇ喜んで半泣きなのにめちゃくちゃ笑ってくれてて俺がすげぇ嬉しい
部屋取って正解だったな
「だって誕生日なら一番好きなもんが見てぇからな」
「え?大我って熱帯魚好きだっけ?」
「嫌いではねぇよ。けど俺が一番好きなのはお前の笑った顔。つばきが嬉しそうに喜ぶ顔がすげぇ好きだからそれを見たかったんだよ」
「大我……」
「泣くなよ」
ホント泣き虫
けどうれし泣きなら全然いい