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【黒子のバスケ】短編集

第8章 二人で 【火神 大我】


金曜から旅行に行くつもりで計画してたから予定したより全然地味なもんになっちまうけど、これだけは今日言いてぇ


デザートだけは食べずに帰るから一緒に食おうって約束をしていたつばきからの迎えの連絡を待ちながら夜景を見下ろして、何度も頭の中でシミュレーションをした



そして9時を回ったころに俺のスマホが鳴った


「大我、今終わったの。お迎えお願いします」

「すぐ行く」

「ごめんね」

「いいって。ちょっとハンズフリーにつなぎ直すから途切れるけど切るなよ」

「うん」


待ってる間になんかあったら嫌で迎えに行く間もいつもずっと電話してる。

めちゃくちゃしつけぇナンパに一回捕まっちまったって話を聞いてからは飲み会の帰りは家に着くまで必ず電話するようになった。
時差はあるけど飲み会の予定はちゃんと教えてくれるから朝早く起きてつばきからの電話を待つのが恒例だった

日本にいるときは当然迎えに行くけどあっちにいるときはそれが精いっぱいだった

「あ、ごめん!本部長のお見送りだって‼」

「分かった。もう着くから通りの向かいで待ってる」



電話を切って、酔っ払いが多いから慎重に運転して最初から聞いてた場所の向かいに車を止めると腹の出たオヤジを真ん中にして円で囲んで全員が頭を下げてるスーツの集団



これだ……(笑)

あの真ん中が多分本部長ってやつだな


そして本部長らしき人が動いたおかげで見えた俺の彼女
背中側にいるせいか明らかに適当な頭の下げ方をしてキョロキョロしたと思ったら俺の車に気付いた

なんか言ってるやつの言葉なんて聞いちゃいないって顔して俺を見ながらすっげぇニコニコして手を小さく振ってくれた


可愛いな…
けどそんな事してっと怒られちまうぞ(笑)


男の社員はこれからの時間も本部長のご機嫌取りに付き合うらしいけど、女子社員は遅すぎるのは良くないってことで一次会で絶対解放してもらえるし、デカい会社だからなのかコンプライアンスはめちゃくちゃ厳しくて飲み会であっても社内セクハラは一切許されないってことはつばきが教えてくれた


男の社員と本部長が女子社員に見送られて喧騒の中に飲み込まれるようにいなくなると同僚に手を振ったつばきがめちゃくちゃ嬉しそうに駆け寄ってきた


「ただいまっ‼‼」

「おかえり。お疲れ」
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