第8章 二人で 【火神 大我】
「けど、お前もそろそろじゃねぇの?」
「まぁな」
付き合って8年
俺の都合でずっと待たせちまってるし、結婚ってなりゃつばきは色々すげぇ変わって大変になることは目に見えてる
けど、結婚すんならつばきしかいねぇ
「プロポーズどうやってした?」
「飛行機ん中。あいつは夜景がすげぇ好きだからモナコでジェットチャーターしてやった。天気よくて雲が少なかったからすげぇ綺麗に見えて雰囲気のおかげでOKもらえたわ」
「雰囲気でOKする訳ねぇだろ」
青峰は意外とロマンチストらしいけどちゃんと嫁さんのツボを知ってていつもそこを押さえてる
男としても旦那としてもめちゃくちゃデキる
勿論バスケ選手としても
青峰のプロポーズの話やら結婚式の時の裏話やらを聞いてるうちにチビ峰が青峰の膝に乗ったままこっくりこっくりし始めた
「わり。昼寝の時間だわ」
「おー。じゃあまたあっちでな」
「おぉ。雰囲気勝負だ」
「ふざけんな‼‼」
青峰の車の後部座席のチャイルドシート
全然似合ってねぇのになんかすげぇかっこいい様な気がして
『パパだっこー…座らない座らない…』
『だっこだっこだっこー…』
寝ぼけてんのか目を閉じたまま首を振ってぐずるチビ峰の腹をトントン叩いて落ち着かせるようにしてあっという間にシートに乗せてベルトを締めた
コートから持ってきた青峰たちの荷物を手渡すと手際よく車に積み込んだ
「助かったわ。これでも減った方だけど、チビいるとすげー荷物多いんだよ」
「だな。けどなんか羨ましいわ」
「だろ?マジで、結婚も家族も最高だぜ。好きな女と自分の子供だけは何にも代えられねぇ」
バカで横暴だった青峰がな……
今じゃ自分の事なんて二の次三の次で家族第一
こういう旦那でいてぇしこういう父親になりてぇ
さてと
俺も行くとこあるし
そろそろ行くか