第8章 二人で 【火神 大我】
朝から何度も「仕事行きたくない」を繰り返すつばきを乗せて会社に送り届けて、夕方までフリーな俺は同じくシーズンオフで帰国中の青峰に連絡を入れた。
(今から行く)
(今式場出た)
青峰は、もう結婚してる。
式場ってのは結婚式場だけど、自分が結婚すんじゃなくて奥さんが結婚式場でメイクの仕事を受けたからそれを送り届けたって意味。
こいつらも高校で知り合って付き合い始めて、ごたごたケンカしながらもお互いに一途を貫いて6年前結婚した
待ち合わせ場所のストバスのコートに到着するともう青峰は来てて、うり二つのちっこいのが先に俺に気付いた
『あ!タイガ‼』
『お、デカくなったな』
「実家において来ようとしたら泣きわめいて無理だったわ」
「だろーな(笑)」
すっかりいい父親になってて初めて会った時の極悪人面が思い出せねぇ。
俺対青峰とチビ峰
3歳半のくせにドリブルもできるしいっちょ前にフェイクもする。
マジで青峰そっくり
だけど目だけは嫁さんに似てんのかクリックリの二重
めちゃくちゃ可愛いな…(笑)
3人でバスケして疲れて休憩して
『ねぇママお仕事いつ終わる?』
『今日は遅せぇからパパの日だ』
「遅せぇって…体大丈夫かよ…」
「安定期だから日常生活は全然問題ねぇけど、ゆっくりさせてぇから遅せぇことになってんだよ。3時には上がれるからハイヤーでホテルに戻らせて、あっこのスパは妊娠中でも顔と脚はやってくれるらしいからそれが終わる頃俺らも戻る」
青峰の嫁さんは2人目を妊娠中
普段は仕事と育児でゆっくりできねぇからって、シーズンオフは全面的に青峰がお世話役をするらしい
めちゃくちゃ子煩悩で超愛妻家
こいつを見てると結婚したくなる
「結婚ってどんな?」
「最高。人生の墓場とか言う奴もいるけど、俺はそう思ったことは一度もねぇわ。すげー幸せ」
嫁さんを思い浮かべるときの青峰はすげぇいい顔をする
ムカつくけどめちゃくちゃかっこいい
守るべきものをちゃんと持ってる男って感じがする。
「二人目の性別は?」
「今回は女。俺に似ねぇといいけど」
「似てた方がいいんじゃねぇの?」
「美人に生まれた方がいいんだからあいつ似がいいに決まってんだろ」
またサラッと惚気やがって…
クッソ羨ましいわ‼