第6章 フライトプラン【黄瀬涼太】
「黄瀬君、つばきちゃん。本当におめでとう。お仕度に指名してくれてありがとうございます」
出会った日からちょうど3年
付き合ってからは1年
今日俺はつばきと結婚する
お互いの誕生日である6/18
梅雨とは思えないほどの快晴
「涼太も……かっこいいよ」
彼女の過去の恋愛を聞いたときバカな男たちに心底感謝した
傷つけたことは許せないけどこんなにいい女を手放してくれた感謝でいっぱいだった
つばきは誰よりも愛されたかったんだ
一途に想って一途に想われることだけを望んでた
それしか望まなかった
「では、私は一旦外しますけど、黄瀬君、なるべく触れないようにお願いします!」
俺はつばきが近くにいるとすぐにキスしたくなっちゃうからすっごく笑顔だけどちょっとだけ気まずそうに言われてしまった
「了解っす!」
扉が閉まって5分だけ与えられた二人っきりの時間
一番きれいなつばきをみんなに見せびらかしたいからキスは今日は我慢するけど腹の底から湧き上がるこの感情だけは隠せない
「つばき……愛してるよ。ずっと一緒っスよ」
つばきはずっと一緒って言葉を嫌悪した。
そんな事絶対あり得ない。
結婚する気もないのにそんな事簡単に言わないでって泣いて怒った
だからそれ以来いうことができなかった。
だけど今は言う
離婚前提の結婚なんてありえないんだから
そして何より俺がつばきと離れることなんてできっこないんだから
「ずっとあたしとだけ一緒でいいの?」
何言っちゃってるんスかね
お前とだけ…つばきとだからずっと一緒がいいんスよ
「まだそんな事言って。口塞ぐっスよ」
「……涼太……愛してる。ずっと…ずっとあたしと一緒にいて」
「やっと聞けた。……ずっとそれが聞きたかった」
やっぱりキスしないなんて無理
触れるだけ……
そう決めて顔を寄せたのに
ノックが鳴ってそれは叶わなかった
「新郎様、間もなくご入場のお時間ですのでご用意をお願いいたします」
「涼太。ありがとう」
ありがとうなんて俺まだ何もできてない
まだまだこれから