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【黒子のバスケ】短編集

第14章 Pledge【青峰大輝】


当然だけど、部屋に戻ったら呼び方は元に戻る。

結婚なんてこの先だってしないだろうに、妻と呼ばれる響きは少しだけ嬉しくて新鮮だった。

「バルコニーに出てもいいですか?」

「俺もそっち行く」

お茶を入れて運ぶ時にそう聞くと、青峰さんがお茶をバルコニーのテーブルに運んでくれた。

二人でバルコニーに置かれたソファベッドにそれぞれ寝そべって、波の音を聴きながら、街灯のない街の空に広がる星を眺めた。


「ふぐも人間みてぇにDNA鑑定できるのか?」

「できます。しますか?」

「検体が取れりゃいいんだけどな。もう処分されちまってるだろ」

「ふぐの内臓を入れる容器は使い回しですから、容器が押収出来ればその中からDNAを検出することは可能ですが、多量のDNAが混ざっているので完全な分離は難しいかもしれません」

「だよなー」

毒の出処をハッキリさせるためにはさらに詳細な毒物の鑑定が必要になる。
人工合成されたものか天然の生物から抽出されたものか。
もちろんそれらは鑑定を行う必要があると思っていたので、検出された毒を培養している最中ではある。

「テトロドトキシンと一口に言っても26種類存在します。毒の詳細が分かれば個体の特定は出来なくても何を食べて育ったふぐなのかは特定出来ます」

「まじで?」

「はい。ふぐは元々毒を持ってるのではなく、食べたもので体内にテトロドトキシンを溜め込む生物です。ですから、毒を詳細鑑定すればどこの港で上がったものかは特定可能だと思います」

私は事件を解決しようと必死になれるこの人を尊敬してる。

私たちはバディではないけれど、この人の目的のためならどんなに鑑定を繰り返し頼まれたとしても、時間も労力も少しも惜しくないと思える。

「もし今回の毒が天然のふぐ由来だってだって確証を得られたら、その鑑定頼んでいいか?」

「はい。もちろんです」

「いつもこき使って悪いな」

こき使われてるなんて思わない。
私は私なりの信念を持ってこの仕事をやると決めて今までやってきた。
頼りにしてもらえることや、仕事を必要なものだと認めて貰えることは、私のあの時の決断は何一つ間違っていなかったと思わせてくれる。

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