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【黒子のバスケ】短編集

第14章 Pledge【青峰大輝】


神戸空港からレンタカーで2時間

旅館って聞いていたけれど、部屋数少なめの和風のホテルで、案内された部屋はオーシャンビューのとんでもなく広い部屋だった

結構しそうなんだけど、なんて言って料金聞けばいいの?
経費じゃないなら返さないと。

「お夕飯はふぐコースか神戸牛と海鮮のコースがお選びいただけますが、どちらにさいますか?」

「どっちにする?」


捜査で来ているから、不自然に思われないようにしなきゃいけない。
宿泊者は代表者の名前だけしか書いてないからここは夫婦っぽい感じで答えるのが無難だよね……?

どんな設定にするかちゃんと話せば良かったのに、飛行機も車の移動もあたしは寝てしまった。

「あたしふぐにする。……あなたは?」

「じゃあ俺は違う方にする」

あなた。なんて結婚してた時ですら1度も呼んだことがなかったけど、名前を呼ぶのはなんだか恥ずかしくて呼べなかった。

仲居さんが部屋を出て、何となくお互いに目が合って同時に笑った。


「助かった」

「寝てた私のせいです」

「せんせーは捜査官じゃねぇんだから寝てぇ時に寝ていんだよ」


あたしはこの人の、こういう適当だけどなんだかほっとする空気感がすごく好き。
警察官だから安心出来るってこともあるかもしれないけど、普段から見るこの人の正義感の強さは、こんな状況でも警戒しないどころか安心感すら与えてくれる。


「運転ありがとうございました。なにか飲みますか?」

「散歩行かね?アイスくいてー」

「はい」

ホテルを出るとすぐに海で、海水浴をしている人達が目に入る。
いつもはスーツだけど、今日の青峰刑事はいつもよりラフで、小麦色の肌はこの景色にすごく馴染んでいる。

「青峰さんは泳げますか?」

「泳げる。せんせーは?」

「泳げません。でもスキューバダイビングがしたいです」

デタラメなことは分かってるんだけど、あたしは水が嫌いな訳ではなくてただただ水中で息ができないのが怖いから泳げない。

いつか時間が取れたら訓練をして、スキューバダイビングがしたい。

笑われるかと思ったけど、彼は笑わずに「やりたい事はやればいい」って言ってくれた。

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