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【黒子のバスケ】短編集

第14章 Pledge【青峰大輝】


どんな面倒な鑑定も、追加要請も絶対断らねぇ大河内。

俺たちの推察が外れて不要な鑑定になったことも何度もある。
裁判資料に含まれねぇ鑑定は100や200じゃねぇ。


けど、大河内は必ず言う

「無駄ではありません。死因はそれではなかったという事実を検証できています」

喋り方が一定で表情も乏しいから、ただの仕事人間に見えてたけど、こっちのどんな要請も断らねぇのは、自分の仕事で誰かを助けてぇって信念を持ってるからなんだと思うと、それがすげぇ人間らしかった。

バディとは違う形で一緒に仕事して、何度も顔を合わせるうちに、今まで知らなかった大河内の姿を度々見るようになった。

研究室で飼ってるチンチラに話しかけたり、手に乗せて餌やって可愛がったり
冷凍庫がソーダとスイカのアイスでパンパンだったり
マスクしてたから風邪かと思ったら、睡眠不足のせいで食欲が暴走して昼にニンニクまみれのラーメンをめちゃくちゃ食ったからだったり
徹夜続きだったのか、待ち合わせ時間に行ったらソファで爆睡してたり

そういうたまに見る、誰にも知られてねぇと思い込んでる姿がすげぇ可愛いって思うようになったけど、距離を縮めるきっかけも時間もねぇままだった。




淡路のは確かに誰か行かなきゃいけねぇけど、俺である必要はなかったし、男が倒れた日その女は欠勤で、毒の性質を考えても第一容疑者って訳ではねぇ。

有給溜まりまくってて使えって言われてんのは事実だけど、捜査本部が立ち上がってる時に取れってことではねぇ。

俺は口実がほしかった。

アホらしい理由でもこじつけでも、俺は大河内と一緒にいる時間が欲しかった。















けど、だからって最初に誘ったのが泊まりの捜査ってのは完全なるミスだった。

どうすりゃいいか全然分かってなくて、なんの前触れもなく誘っちまった。


完全にアホを見る目だったけど、行ってもいいって言ってくれたのは奇跡だった。



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