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【黒子のバスケ】短編集

第14章 Pledge【青峰大輝】


今彼が読んでいるのは、とある会社で倒れて亡くなった男性の検案書。

同じ社内で連続して3人が倒れ、一人目は心臓発作での病死と結論付けられ解剖されることなく荼毘に付された。

二人目は糖尿を患う男性で、低血糖により倒れ搬送。彼は意識を取り戻し、現在は復職。

そして、私が担当した彼は3人目。
会社で倒れ、搬送時すでにコミュニケーションが取れず、原因が特定できないまま死亡に至り、私のところに回ってきた。

3人が連続して倒れたことを不審に思った社内の人間から通報があり現在捜査中の事件


「なー。C₁₁H₁₇N₃O₈ってふぐだっけか?」

「はい。」

「簡単に手に入るもんじゃねぇんだけどな…」

正にその通りで、目星をつけて鑑定したあたしですら何かの間違いではないかと疑ったくらいだった。

テレビのサスペンスでは簡単に手に入れているけれど、ふぐ毒なんてものはそう簡単に手に入らない。

「胃の内容物何だった?」

「米、のり、鶏卵、鶏肉、牛肉、トマト、レタス、ひじき、大豆、ほうれん草、ゴマ。ですね」

「こんないかにも弁当食いましたって胃の中身じゃふぐ食ってねぇよな」

「確かに、胃の内容物からはふぐ料理を食べた形跡はありませんね」

「なら毒を手に入れるしかねぇか…」

捜査は始まったばかりで、まだまだ情報が足りないけれど、3人目に倒れた男性の死亡原因は間違いなくふぐ毒。


「ふぐ毒って基本的な薬毒物検査に含まれねぇだろ?何で検査しようと思った?」

「搬送時と倒れる前の様子を教えていただいていたので、神経系の薬物検査が必要と判断しました。ですが、テトロドトキシンは入手困難なので優先順位が低かったので特定に時間がかかりました。すみません」

「いや、特定したんだからお手柄だろ」


読み終わった検案書を封筒に戻して、来客用兼私が仮眠するためのソファに座って彼はさっきのアイスの続きを食べ始めた。



「今日は帰れますか?」

「いや、無理だな」

「これ、どうぞ」


アイスを食べ終えて帰ろうとする青峰刑事に、自分が徹夜になった時様に買っておいた非常食を渡すと、いつも通りのお礼を言って署に戻っていった。


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