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【黒子のバスケ】短編集

第14章 Pledge【青峰大輝】


苗字が大河内に戻って5年。

あれ以来あたしは誰とも付き合っていない。

職場では、あまりにも早すぎた離婚のせいか誰もつっこめないような空気だったけど、徐々に元に戻って、今ではあたしが結婚してたことすら多分誰の記憶にも残ってない。

友人たちは離婚理由を聞いてみんな怒ってくれて、うちの両親も親族もみんな、あたしに落ち度はなかったって言ってくれた。
いい人がいるから会ってみないかって言ってくれた人もいた。


でもあたしはもう二度と結婚も恋愛もする気がない。









「せんせー。いる?」

「いますよ。」

いつもこうやって、ノックしながら全く返事を待たずに開けるのは警視庁捜査一課の青峰刑事。

昔はバディの木村さんがよく来ていたけれど、木村さんは今は四課の刑事さんになっていて、木村さんが移動になってからは青峰刑事が来るようになった。

「何か飲みますか?」

「アイスくいてー」

「どうぞ」

青峰刑事は見た目はちょっと強面だけど、ソーダのアイスが好きで、私のところに来るとよくこうやってアイスを食べたがる。

うちのドーベルマンの様に黒くて大きくて、でも少し幼いところがあって。

同い年だって前に話したことがあったけど、アイスをねだられると甥っ子みたいだなってちょっと思ってしまう。

アイスを食べながら死体検案書を見て、食べているものが何かを忘れるほど手元の書類にくぎ付けになっている。


「アイス溶けますよ。先食べますか?読みますか?」

「あ、じゃあ読む」

食べかけのアイスを入れるために来客用のグラスを渡すと、その中にアイスを入れて、検案書を読みながら冷凍庫に向かったけど、冷凍庫を開ける前にまた止まって検案書を読んでいる。


手からグラスを受け取って冷凍庫に手をかけると、やっと意識をアイスに向けてくれた。

「あ、わり」

「いえ」

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