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【黒子のバスケ】短編集

第13章 Re:Start【緑間真太郎】


そして、退院して間もなくつばきは俺に何も言わないまま姿を消してしまった。

俺は踏み込めなかった。

もっと寄り添い、もっと大切にし、もっともっとつばきと向き合うべきだった。

俺は救命に行かせたからつばきを失ったんだと現実から目を逸らし、問題の本質である自分自身から逃げ続けていた。


だがもう逃げない。

俺はどんな運命であろうとも、つばきと共に生きる。




「あの時刺された傷はに子宮に達して、刺してから横に引きずるように抜かれた刃物は子宮に5cmの傷を作って子宮動脈と腸骨内動脈を傷つけた。子宮摘出以外、私が助かる道はなかった。」


「すまなかった。つばきの辛さにも喪失感にも何も気づけず、腫れ物に触るように接してしまった。俺は子供を持たない人生であっても、つばきがいてくれたらそれでいい。つばきと一緒に生きていきたい」


あの時、俺が最初からきちんと向き合い伝えていればよかったんだ。

どれだけつばきに拒まれても、時間をかけて丁寧に話を聞けば負傷の程度から結果は予想できたはずだ。

俺は怖かった
だから目を背けてしまったんだ。


「もう二度と君から目を背けない。どんな現実だってつばきとなら俺は乗り越えていける。」

「目を背けて逃げたのは私。だから真太郎がそんな風に思わないで」

俺はつばきの優しさと強さに何度も助けられ、支えられここまでやってきた。

離れてた7年間だって、辛い時に思い出すのはいつだってつばきの笑顔と励ましてくれる声だった。

俺に必要なのは、子供を産める相手じゃない。つばきと生きる人生が必要なんだ。




「もう一度、俺と共に生きて欲しい」







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