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【黒子のバスケ】短編集

第13章 Re:Start【緑間真太郎】


「新しい職場はどこなんですか??」

「高度周産期医療センターに行くの」

私の新しい職場はこの間まで滝本さんがいたところ。

「えっ…そうなんですか?!」

「うん。再来月の3日から医師として勤務します」

「え?!3日間しかお休みしないんですか?!」

ここでの勤務は来月末まで。
有給の消化をしなさいと部長に言われていたから、たまった60日のうち半分を使おうと思っていたけど、引き継ぎがなかなか進まずで、今月もほぼ出勤する事になった。

爆発現場での行動は社長の耳にも入ったらしく、社長賞という名で消化できなかった有給分を全て買い取ってくれることになり、社長からも激励して頂いた。

会社全体で行われる総会くらいでしか会ったことのなかった社長。

いつももっともらしいことばかり言ってると思って話は適当に聞いていたけれど、実際に間近で対面し、話をすると、医療に携わる人間として誇りを持っていて、人を救う医療の会社の社員が不幸なのは論外だとほんとうに思っているようだった。


「君のような社員がいた事を誇りに思うよ」と言って差し出された手を握りかえすと、両手でしっかりと私の手を握ってくれた。



何となく選んだと思っていたこの仕事も、あたしは医療から離れたくなくて選んだんだと今ならはっきり言える。


「患者さん待ってるから。諸々手続きあって3日はお休みするんだけど、その後はすぐ勤務することにしたの」


今までは脳外の専門医を目指していたから、畑違いではあるけれど、妊婦さんの処置には緊急性が求められることも多く、あたしは脳外の経験よりも救命救急の経験を活かせる職場を選んだ。


自分の経験を最大限活かせる。


そう思ったから、復帰は周産期センターですることを決めた。




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