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【黒子のバスケ】短編集

第13章 Re:Start【緑間真太郎】


「資材到着です‼‼資材が到着しました‼‼医療従事者の方は必要
分だけ、必要な分だけを持って行ってください‼‼」

本部からのアナウンスで一斉に看護師が移動し、それぞれに必要な資材をもって持ち場に戻る。

「RCC、FFPを4単位ずつ、AT3製剤は3000単位。これでいく」

患者は彼女だけじゃない。

余裕があるなら多めに確保するけれど、循環が維持できているこの状態なら、彼女の体格であればそれで今は足りる。

看護師が必要な分を運んでくれて、滝本さんの点滴にどちらも繋がれた。

「子宮動脈塞栓術による止血術を行います」

子宮塞栓術は以前より妊娠に影響する可能性も言われているけれど、まったくできないわけではない。
さらに、数年前に発表された文献はこれまでとは違い、妊孕率に大きく影響しないとされるものも出てきている。

「鼠径部からアプローチ、その後ゼラチンスポンジで塞栓します」

塞栓術後の妊孕率の文献を読んで、最も妊孕率が高かった素材はゼラチンスポンジ。
塞栓術が妊孕率に影響しないと結論付けられてはいたけれど、素材別の検証で最も妊孕率に影響しないものを選びたかった。



「メスください」


今日この爆発が起きなければ、きっと滝本さんは病院で安全に出産して、子供とゆっくり対面できていた。

鼠径部を切られることもなく、今後の妊娠に於いてのリスクも今とは違ったはず。


だからこそ

だからこそ、子宮を温存すると決めた私自身が処置をする。


「カテ」

これまでの野外医療でカテーテル治療はできなかった。
都知事が考える首都直下型災害に対応する緊急医療体制の構築のおかげで、野外治療でもカテーテルを使えるようになり救命率は格段に上がった。


造影剤によってはっきり見える子宮動脈まで慎重にカテーテルを進め、塞栓位置にたどり着いた。


ゼラチンスポンジを注入し、出血源である動脈を塞ぐ

「カテ抜きます、傷押さえて」

「押さえます」

「右子宮動脈塞栓終了。クランプ解除してください」

塞栓自体は大きな問題なく終了した。
あたしの言葉に真太郎が右子宮動脈のペアンに手をかけた








そして、鉗子の先がゆっくりと開かれる














「右子宮動脈出血無し」









真太郎の言葉に大きく息を吐き出すと、彼の目が少しだけ笑ったように見えた
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