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【黒子のバスケ】短編集

第13章 Re:Start【緑間真太郎】


「中谷メディカルから医療物資の提供が発表されました!動ける消防関係者は中谷メディカル東倉庫へ取りに行ってください‼」

現場統括の都庁の人間が医療テント外の本部から拡声器を通して聞こえたそれは、ここにいる医療従事者全員にとって天から降る恵みの雨の様だった。

だけど、あたしが部長に電話してと言ってからだと考えると早すぎる。

社会の為に何としても会社を存続させる。だからこそ債権管理部の審査課は必要なんだという社長の言葉は一応上辺だけのものではなかったという事なんだろう。

「生食あるだけください‼」

「オペ器材も足りてません」

「RCCあるだけ持ってきて!」

何が必要か確認する消防隊員に次々と要望が伝えられる。

「麻酔とハンディの酸素ボンベもください!」

「リンゲル液と消毒お願いします」


言われたものを先行して走らせた車にトランシーバーで次々と伝えて、必要なものはあと10分もすればすべて届く。



「絶対に温存できる。輸液と輸血で循環維持して、資材が届くまでの時間を稼げれば間違いなく残せる。
大動脈遮断して血流を一時的に止めて、資材が届いたら塞栓術。遮断解除して出血が無ければ周産期センターに搬送」

「資材が届くまでに心室細動が起きたら……全摘だ。」

「分かってる」


この設備では、ショックに陥った場合子宮温存はできない。
資材も人も、機材もすべてが圧倒的に不足してる。

「ポンピング輸血してください」

「オキシトシン10単位、メチルエルゴメトリン0.2静注」

少しでも子宮の全体収縮を促して、剥離面の血管を収縮させておかなければクランプ解除の瞬間に大量出血を起こす可能性がある。
資材を待つ間、全身管理と子宮収縮にの処置に真太郎と一緒に当たった。



「真ちゃん。周産期センターの戸田から。赤ちゃん安定したってさ」



高尾君…
彼は救命の看護師になったと聞いていた。

高校からの相棒で大人になってからも仕事で一緒に現場に出てる。


「そうか。高尾、全てのエリアの患者に熱中症の症状がないかチェックしてくれ。中谷から資材提供される。経口補水でしのいでいた人達で猶予の無い者はルート確保を頼む」

「はいよ」


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