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【黒子のバスケ】短編集

第13章 Re:Start【緑間真太郎】


「滝本さん、赤ちゃん出ますから、ちょっとお腹に力入れてください」


真太郎に言われて滝本さんが力を入れると、正産期で生まれる赤ちゃんよりも一回り小さな赤ちゃんが取り出された。


「胎児仮死。蘇生します。戸田はあとどれくらいだ」

「あと2分ほどです!」

「母体、一部早期胎盤剥離。処置に入ります。念のためRCC10単位、FFP10単位、AT3製剤6000単位用意してください」

「赤ちゃんは……」

「滝本さん、赤ちゃん今ちょっと具合よくなくて医師が見てます。すぐに専門の設備が整った車両で迎えにきますから、後で滝本さんもそちらに搬送しますからね」

カイザーは下半身麻酔で行われるため、意思疎通ができることがメリットではあるものの、赤ちゃんの具合がよくなかったときはデメリットにもなる。

「血圧低下!下測れません!吸引間に合いません!」

「ガーゼください」

赤ちゃんの具合を伝えた直後、今度は滝本さんが痙攣を起こし、血圧は90を切り、胎盤剥離面から大量に出血し始めた。

「RCCが足りません。それにAT製剤はないんです…」

「今から言う番号に電話して大河内という医師が医療資材の提供を求めてると言って」

「どうした?」

「胎盤の剥離部から大量出血。ショックで意識混濁してる。心室細動起こすかもしれない」

止血するだけで手いっぱいで全身管理ができないところに加えて医療資材の不足。
万事休すかと思ったところに赤ちゃんを引き渡した真太郎が来てくれた。

「………ここには病院のような設備はない。残念だが子宮を全摘して止血優先だ」

「ダメよ。子宮は温存する。UAE法を使えば温存できる」

「それはできない。現場はRCCが不足していてAT製剤はない。すぐに止血しなければ命に関わるぞ‼」

「うちにある。うちの会社のすぐそこの医薬品保管庫に全部売るほどある。一時止血して時間を稼ぐ。絶対に子宮は温存できる」

子宮全摘は卵巣を残すのであればホルモンに大きな影響はないとされているけれど、実際はそうではない。


それに滝本さんは自分が3人兄妹で育ってきたから子供は3人ほしいと言っていた。

患者の命とその後の人生全てを救って一人前


だから、まだ諦めるわけにはいかない

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