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【黒子のバスケ】短編集

第13章 Re:Start【緑間真太郎】


「すみません!誰かっ!!」

建物の規制線の外で患者を見ていると、レスキューが出入りしている所では無い隙間から1人の女性が子供を二人連れて出てきた。

「妊婦さんがいるんです!!誰か……助けてっ!!」

ボロボロになりながら、片手には幼児を抱き、もう片方の手は泣きじゃくる子供の手を握っている。


「お腹が大きくて通れないから、まだ中なんです!!でもお腹も張っててっ……」

懸命にレスキューに状況を説明しているが、彼女の這い出た箇所は崩落の危険が高くそこからの救助は困難を極める。

「ここから何メートルの所にいるか大体でいいから分かるか?」

「ほんとにすぐそこに……すぐそこまで来てるんです!!」

「分かった。俺が降りる。支柱を使って大きな瓦礫を支えろ。バックボードに乗せたら合図するから一気に引きあげろ」

「隊長!危険です!」

危険すぎる。
火神まで巻き添えになれば、隊は統率を失う。

「助けてって言ってんだ。これが仕事だ。不安定な場所での支柱の訓練は何度もやった。俺はお前たちの技術になんの疑いも不安もない。バックボード貸せ」

火神の言葉に1人がバックボードを差し出すと、それを受け取って隊に向き直った。

「全員で確認して固定したら、引き上げは風間と牧瀬。合図で一気に上げろ。俺は迂回して正規ルートから出る。妊婦を見れる医者の確保誘導を本宮。医療テントに運ぶルート確保を浅田。全員で助けるぞ」

【了解!】

僅かな空洞から火神が中に入って行くと、隊が瓦礫の確認をしながら支柱を使い、崩落しないようその出口を広げた。

全員で確認し、火神の指示通りそれぞれの役割を果たすため隊員が散った。

「後期妊婦の診察をお願いします!手の空いてる医師の……」

「私が診る」

先程の女性と子供の診察をしながら医師の呼びかけに答えると、診察中の女性が残されている女性の情報を教えてくれた。

「名前は滝本麻美。年齢は33歳、第2子妊娠中で、血圧がやや高めと言われていると聞きました。婦人科は緑間総合病院の産科です。会社の同期です。妊娠9ヶ月で産休に入ってます」

うちならば話は早い。

「高尾、産科患者の滝本麻美さんのカルテをタブレットに送ってもらって内容の確認を」

「了解」



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