第1章 別れの風は唐突に吹いた
「そう。もう、涼太の心の中には俺は居ないんだね・・・。」
「そうっすね。」
「俺の心は涼太でいっぱい満たされてて別れたくなんてないけど、好きでもない人と一緒に居るのは負担でしかないよね。俺は涼太の負担にはなりたくないから別れてあげる。」
「それじゃあ。次、会うときは友達としてっすね。」
「うん。バイバイ。」
俺がそう言うと涼太は歩いて公園から出ていった。
涼太が居なくなった途端涙がたくさん溢れてきて止まらなくなった。
「涼太。俺、友達なんて・・・無理だよ・・・。」
俺が涙を拭こうと、涼太から貰ったハンカチをポケットから出した瞬間、突風が吹いてハンカチを飛ばした。
「神様は残酷なことをする。俺から大切なものを奪った・・・とにかく、家に帰ろう。」
俺は家に帰ることにした。
でも、俺がした選択が自分を苦しめることになるとは知る由もなかった。