第3章 歪み始めた心
「でも、俺のせいで怪我をしたようなものじゃないっすか。」
「黄瀬、お前は気にしすぎだ。俺が未熟だから怪我をした。決してお前が悪いわけじゃない。こんな怪我直ぐに治るから安心しろ。」
「・・・やっぱり、のんが怪我したのは俺のせいでもあるっすよ。歩くのだって無理なんじゃないっすか?」
「ゆっくり歩いて行けば移動くらい何ともない。」
「今日一日俺がのんに付き合うっすよ。」
「別に足の怪我くらいで大袈裟だって言うの。」
「おい。黄瀬、お前は練習に戻れ。」
「えっ。でも、のんの足を怪我させたのは俺っすから俺はのんの傍に居るっすよ。」
「黄瀬、俺は大丈夫だから練習してこいよ。お前は海常にとって一番必要な戦力なんだ。なんたってキセキの世代と呼ばれていた人間の一人なんだからな。」
「分かったっす。のんがそう言うなら練習してこいよくるっすよ。」
そう言って涼太は練習に戻って行った。
俺は練習の邪魔にならない場所へ移動して練習が終わるまで見学していた。
練習に参加することが上達する一番の道だが人のプレイを見ることでも勉強になるからだ。
暫くして練習は終った。
「朝練はこれで終わる。確実クールダウンしておくように。」
「「「「「「あざーっす。」」」」」」
俺が教室へ移動しようとすると涼太が肩を貸してくれた。
「黄瀬、何で俺に優しくするんだ?」
「のんが怪我した理由の半分は俺のせいっすから。」