第3章 歪み始めた心
俺はそう言って自分用のお皿に盛り付けられた野菜炒めを食べた。
「あれ?人参が美味しい・・・。それにピーマンも苦くない。」
「お前の場合は食わず嫌いが多いだろう。人参は不味い。ピーマンは苦い。そう言う先入観があるから食べなかっただけで食べちまえば食えるんだよ。」
「兄ちゃん、俺が良く食わず嫌いだって分かったね。」
「そんなのは一緒に暮らしてれば分かるぞ。」
「母さんは俺が野菜を食べなくても何も言わなかったよ。」
「母さんは嫌いなものは無理して食べなくても良いって思っている人だから食べなさいって言わないだけだ。」
「そっか。それにしてもさ。家に帰らなくて良いの?真奈ちゃんたちが兄ちゃんが帰ってくるの待ってるんじゃないの?」
「今日はお袋が徹夜で帰れないから実家に帰るって伝えてあるから平気だ。」
「そうなの?俺は一人でも大丈夫だから帰ってあげてよ。子供と遊んであげるのも父親の役目だよ。」
「お前は何でそんなに俺を家に帰したいんだ?」
「えっ。子供は父親と母親が必要だって思うんだもん。それに女の子って思春期を迎えるとパパは嫌だって言う子が多いんだよ。今のうちにスキンシップしておいた方が良いんじゃないかななんて思ったんだ。」
「そんなのお前が気にする必要はないんだ。休日に家族サービスしてるんだからな。」