第3章 歪み始めた心
「兄ちゃん、離してよ。涼太のことを追いかけなくちゃ・・・。」
「離さない。黄瀬のことは忘れろ。もうお前は前に進まなくちゃならない。」
「嫌だ。涼太は俺だけのもの。俺以外の人の近くには置いておけないよ。」
「俺はこれ以上お前が壊れていくのを見るのは耐えられない。」
「俺は壊れてなんかないよ。」
「俺は言っただろう。報われない恋をしているといつか身を滅ぼすって。今のお前はその状態になりかけてる。その証拠にお前は黄瀬を殺して自分も死のうとした。現世では幸せになれないから天国に行って幸せになるんだって思ったんだろう。」
「違う・・・。そんなことはない・・・。俺は俺の気持ちを分かってくれない涼太なんて要らないって思って首を絞めて殺そうとしたの。でも、涼太が居ないのは嫌だから自分も死のうと考えたの。」
「それは分かった。とにかく、お前はもう暫く学校を休め。精神的に病んでいるお前が学校へ行くのは危険が伴うからな。」
「嫌だ。俺もう、明日から学校へ行く。涼太にまとわり付く虫を追い払わなくちゃ・・・。」
「そんなに黄瀬のことが忘れられないなら俺が忘れさせてやるよ。」