第3章 歪み始めた心
「ちょっと待ってよ。俺は何にも企んでないよ。心の整理をするためにも涼太と会って話し合うべきだって思ったんだよ。」
「それじゃあ。俺も立ち会って良いよな?」
「ダメ。二人で話し合うのが大切なの。」
「包み隠しててもお前のためにならないからはっきり言うぞ。お前は黄瀬のことを何処かの廃墟にでも連れていって監禁しようとしてるな?」
「兄ちゃん、凉太を監禁とかあり得ないよ。(兄ちゃんってば俺の心を見透かしてる?なわけないよね。いくら心理カウンセラーの資格を持ってるとは言え、詳しく相談したわけじゃないもんね。)」
「お前、俺に嘘吐いてるよな?」
「何でそんなこと言うの?兄ちゃんは弟の俺の言うことを信じられないって言うの?」
「さっき、何も企んでないって言ったとき、お前は嘘吐いたときに人間が無意識に出す癖が出てたんだよ。」
「そんなことないよ・・・。(やっぱ専門家を騙すのは無理があるね。今日は諦めよう。)」
「そうか。今回は俺が居るしこれ以上の追求はしない。見逃してやるよ。」
「うん。」
そんな話をしていると涼太がやって来たのか呼び鈴が鳴った。
ぴーんぽーん
「涼太だね。鍵開いてるからどうぞ。」
俺がそう言うと涼太が玄関に入ってきた。
「のん、俺に話って何っすか?」
「玄関で立ち話も何だから俺の部屋へ行こう。」
「そうっすね。お邪魔します。」