第1章 夢は夢のまま
『俺は、嫌いじゃないよ。強気な団長は、寧ろ大歓迎!
お宝も彼女も奪っちゃおうね』
「あぁ、必ずな」
シャルとの会話が終わり、頭の中は旅団の頭としての自分とルナを猫可愛がりしたい自分がいて、少しアンバランスだ。
旅団の頭である以上、ルナの周りに集まるゾルリック家や家族が居るハンター協会も敵に回すとなると、リスクは大きい。
それでも、あの宝だけは渡せない。
当初、団員内で話しが出た時、シャルにその宝の情報を調べさせていたが然程情報がなかった。
だからか送られてきた資料を見る限り、つい最近になって今まで開示されてなかった情報まで集まるようになった。
シャルの情報収集力は、団員一のは知っているし信頼もしている。
心の中で腑に落ちない。
そういえば最近、カフェを営む傍ら情報屋をしている奴がいるって言っていた…。
あの人も情報屋をしていたはずと何故か頭をよぎる。
まさかと思うが、あの人からの情報なら間違いはない。
ー蓮の紋様ー
いや、あの人からわざわざ情報を渡すなんて有り得ないか!
それよりもこの宝、資料を読み返せば曰く付きなしろものだ。
呼応し相成るものに力を与え、体ごと奪われた果てには人のカケラも残さないー
ある諸説に書かれてあった、ネックレス・ピアス・バングルの3つのクリスタル。
確か…総称があった…月の涙。
もし、ルナが近づけばより一層呼応するのかもしれない。
危険すぎる、なぜ今回それを守るのかがわからない。
危険を犯してでも必要なのか、はたまた何も知らずにいるのか。
いずれにしても聞き出す必要性があるな。
それにしても、ルナが風呂場にいってから時間が経っている。
様子を見に行くため、まだ薄暗い闇を見つめながら重い腰をあげた。