第1章 夢は夢のまま
「シャル、その問いは愚問だな。
俺が惚れた女だ。お前じゃ、あいつの心に触れる事すら出来ない。
それに本人は、気づいているかどうかはわからないが、まるで鍵が架かっているみたいに頑なだからな。
それを蹴破るものなら、無意識にルナの念が発動する。
光と闇を纏いし力ー
その力を眼の前にしたら、お前じゃ何も出来ない。
ルナを守るどころか己さえ危ないだろうからな」
『ふ〜ん、じゃ団長は、その力に対抗できると?まぁ、当然だとは思うけど…』
「対抗か?そんな事考えた事はない。
ルナは、心を許している奴には何もしない。
それに、男って者もまだ何も知らないからな、無知で純粋なんだよ。
例えば…、白いキャンバスがあるとしたら何色でも染めることが出来るだろ⁈
お前じゃ、それに触る事も自分好みに色を染める事すらも出来ないだろう‼︎
だが…俺なら出来る!」
『なにそれ!!ただ単に俺の気になってる女は、俺にしか靡かないって事⁇
それってさあー、ただの時惚れじゃん?』
「どっちでもいい、彼奴がいたとしてもいずれ俺しか映らなくなるさ」
『ハァー本当うちの団長は強気だよね⁈
まぁ、お手並み拝見とするよ』
呆れているシャルを他所に、本題の件だが…。
宝は、厄介な代物であることには変わりない…が⁉︎
あの人…蓮の模様!が浮き上がる男とイルミ…いや正確に言えばゾルリック家とハンター協会の介入も視野にいれないとダメだな。
「シャル、あの美術館には俺が明日見に行く。
その館長とやらも会っておきたいしな」
『じゃ、ルナちゃんとデートかぁ〜団長、くれぐれも美術館の静かな一室に連れて行かないでよ』
「バカを言うな!性急に事を進められてしまえば、逃げられるだろう?
今は、そんな時じゃない」
『団長にとって、お姫様は大事な宝物なわけだ。
でも、団長…あのゾルリック家の長男もヒソカもこぞって好意を持っているじゃん、先手を取られたら持ってかれるよ?
そうならないように期待しているから』
「お前言う通り、それも一理ある。でも、他の誰にもやらない。
やれない…ルナは、俺のものだ」
俺は、盗賊だからたとえ誰かのものになってもあいつを奪う。