第1章 夢は夢のまま
『フィニッシャー美術館にある例のお宝は、明後日のオークションに初お披露目されるらしいよ。
かなりのセキュリティがひかれてるみたいだね。
突破するには、いくつものトラップを掻い潜らなきゃいけないし、お姫様とも退治しなきゃいけないけど』
「ルートは?」
『まぁ、三方向で分かれて入った方がいいかな!二つのルートは、騒ぎを起こし各フロアにいる監視を殺る。
もう一つのルートは、本題の宝にたどり着く予定なんだけど…』
言葉に詰まるシャルに嫌な予感がしてくる。
「なんだ?何かあるのか?」
『お姫様よりも問題は館長だ。あの宝を手にしてから念が強くなったってさぁー。
それも曰く付きのネックレスのせいだともっぱらの噂だよ』
曰く付きのネックレス⁈ルナは、そんな物騒なものなぜ欲しがる?
『あと…それから…』
言葉を濁すシャルに『全て話せ!」と命令する。
『…わかったよ。念を使うと館長の左肩に蓮の花が浮かぶんだ。
これってあの人が、絡んでいるのかな?』
終始無言でいるとシャルから聞いているのかと問い出され、我に返る。
嫌な予感は、あの人が絡んでいるかもしれない事か⁈
「シャル、全員召集しろ!あの人が現れるかもしれないなら尚更だ。
良い機会だ、ここであの人とのいい念を断ち切りあの人を殺す」
自分でも身震いするほど、興奮がやめられない。
『ラジャ!でも、ヒソカはどうするのさー?来ないかもしれないよ?』
「アイツも集合させる。ルナが、絡んでいる事なら尚更だ」
『ヒソカもねぇ〜』
「なんだ、シャル?」
『団長もヒソカもあのゾルディックの長男も熱の入れようってどんな子なのかなって!
いつもフードを深く被ってるからあんまり顔見れないし。
それに、運良くすれ違ってもあの綺麗な髪が揺れて、一瞬眼を奪われるのに蝶が舞って消えるからさ…』
「お前にしては、いつにも増して饒舌だな。シャル…惚れたか?」
『あぁ、ん…わかんないよ。それは…』
答えを揉めれば歯切れの悪い言い方だ。
実際会えば誰でも一瞬にして心を奪われる。
俺やヒソカ、イルミに限ってだけじゃない。
だから誰にも奪われたくはない。
「シャル、アイツはお前には無理だ」
『それってどう言う意味?』
シャルの質問に愚問だと感じ遮った。