第1章 夢は夢のまま
あれからどれくらい眠ってるいたのか、時計を見るとまだ午前6時前。
カーテンの隙間からはまだ薄暗い空が見える。
汗で張り付いた腰まである長い髪を手で梳きながら束ねていると、彼の寝顔をジッと見てしまう。
見れば見る程綺麗な顔立ち。
我慢出来なくて、そっと頬に触れてみる。
柔らかい頬、女性っぽいな。
前から思ってたけど、寝顔は可愛い。
彼を起こさないようにベットから降りようとすると腕を掴まれた。
「どこに行く?」
掠れた寝起きの彼の声、いつもより少し声が低い。
「おはよう、ごめん起こしちゃったよね。なるべく静かに動いたんだけど…」
なんだか恥ずかしくなって、傍にあったガウンを体に纏う。
「そりゃ、あれだけ見られて顔触られたらな」
「えっ!起きてたの?」
「起きてないとでも思ったのか?以外に擽ったかったから、我慢するのに苦労した」
しまった!まぁ、触りすぎたかもしれないけど、起きてるなら言って欲しかった。
顔から火が出るように真っ赤な顔を隠すため、背中を向ける。
「クロロ、汗かいちゃったからシャワー浴びてくるね」
「一緒に浴びようか?」
「えっ‼︎無理〜恥ずかしいからだめ」
意を決して、彼の唇に人差し指をあて笑って見せる。
「ちぇっ、だめか~」
彼は、髪をクシャクシャにして寝転がっている仕草が幼い男の子に見えてかわいい。
行き際に、『いい子にして待っててね。』と言いながら、彼の額にキスをしてシャワーへと向う。
逃げるようにお風呂場に着くと、ペタリと座り込む。
我ながら大胆だったかな⁉︎
いやいや、幼馴染のイルミにもそんな事してない…はず。
彼のことは、人して好きだ。
裏でどんな事していたとしても彼の優しさだったり、物事に関して探求心あるところとかが好きだから。
そんな事イルミに言ったら、あの無表情な顔が一瞬で闇に変わる。
思い出しただけで身震いする体を少し熱めのお湯を全身に浴びて、ホッと一息。
なんだか物足りなくて、目に付いた入浴剤を手にする。
『トワイライト ナイト』なんだか気になりお風呂に湯をはり、ポチャリとお風呂にいれてみる。
たちまち、柑橘系の匂いが部屋を埋めつくし、なだかホッコリする。
すると、トントンとドアを叩く音。
まさかと振り返ると、彼が乱入してきた。