第2章 彼と彼女の情報
ルナの様子が変だ。
最初は、『お願い』と交渉を始めたときは、旅団の頭に言うべき言葉ではないと思えた。
それでも、『お願い!』と言われれば、それに応えたいと思う自分がいる。
けど、旅団として動く以上優先すべきは、個人ではなく目的のために動けば良い。
ルナといると、あの甘えた声で瞳で言われると揺らいでしまう。
不思議でしょうがない。
これ程までに、人を愛したことはない。
止めようとするルナに、あの曰くつきの宝石の事をチラつかせると、虚な瞳になり目の前いる俺にすらみてない状態になった。
さっきのような甘い懇願ではなく、誰かに操られているような明らかに彼女ではない。
何なんだ!
あの宝石とルナの関係は?ルナの言っていた事は?
『アレハ アチラノ ニンゲンジャナイト ウケテケナイ…イマノオマエデハ ムリダ。
デモ キミノ タイセツナモノヲサシダセバ アタエラレル。
キミノ タイセツナモノハナニ?
ココデマッテイル…』と、アチラの人間?今の俺では無理?俺の大切なもの…差し出せるもの?
何なんだ。
それに、『アレは、ヒトをヒトだと思わない』とも…。
考えれば考える程、あの宝石が欲しくなる。
人の欲求とは愚かだ。
それ故に、手にする代償が多きければ大きい程、得られたものは一時の興奮と快楽に酔いしれる。
でも、今は…。
「ルナ!!」
誰かに操れらているような瞳、これは念だ。
本来のルナに届くように、名前を叫べば再び翡翠色の瞳が光輝く。
「えっ?何?どうしたの?いきなり大声出すからビックリするよ」
記憶が無い!やはり、誰かが意図的にルナを操っている?
辺りを見回しても”陰”を使っているのか、あるいは遠方からの念か。
ルナの中で何かが起きている事は、確かだ。
やはり、アレは危険。
ルナに近づけさせたくない。
「さっきの話だけど、旅団は今回引いて下さい。
このままだとゾルリック家とハンター協会と全面戦争になりかねない。
クロロがいくら強くても仲間は、助けれない。
私がと言うよりイルミのパパ達が、旅団を殺しそうだよ」
悲しそうに眼を伏せれば、涙目になっている。
意地悪を言うのも、ルナをアレから遠ざけるためだ。