第2章 彼と彼女の情報
「クロロ…私と一緒の目的なら今回だけは、引いてもらえないかな?」
「無防備すぎるよルナ…そんな交渉じゃ、俺達は止められない」
「違う、交渉じゃない!お願いしてるの」
無防備だってわかっている。
相容れないこともわかっているの。
それでもアレは、ダメなの。
「クロロ聞いて、アレは他の人が持っていたらいけないものなの。
アレは、ヒトをヒトだと思わない」
クロロといたのに目の前が、急に真っ暗になる。
「アレハ アチラノ ニンゲンジャナイト ウケテケナイ…イマノオマエデハ ムリダ。
デモ キミノ タイセツナモノヲサシダセバ アタエラレル。
キミノ タイセツナモノハナニ?
ココデマッテイル…」
ルナと遠くから呼ばれているようで、違う世界にいるような感覚。
不意に浮上する思考。
「ルナ‼︎」
大声で呼ばれた先に、クロロのいる場所に意識が戻ってくる。
「えっ?何?どうしたの?いきなり大声出すからビックリするよ」
「お前…何言って!」
明らかに動揺が隠せていないクロロの様子に、違和感がある。
何をそんなに焦っているの?
「さっきの話だけど、旅団は今回引いて下さい。
このままだとゾルリック家とハンター協会と全面戦争になりかねない。
クロロがいくら強くても仲間は、助けれない。
私がと言うよりイルミのパパ達が、旅団を殺しそうだよ」
「ふ〜んルナは、俺達の事心配してくれるの?
ルナは、どっちにつくの?
イルミ?俺?」
なんでそうなるの?
よくわかんない?
どっちにつくかとか考えてない。
「そうじゃない!何で分からないの?」
「ルナは、宝石を守る為に俺達と殺し合いをするのか?
イルミ側に付くのは、そういう事だ!
けど…ルナが、俺達側に付けばいい何だったら俺達を利用しろ。
自分の利益になるかもしれないだろう」
今まで誰かを利用してまで、望んだことがあっただろうか。
クロロ達に付く、イルミを裏切る!
一度ヒビ割れた溝を埋める事なんて出来ない。
「誰かを裏切ったり、利用したりしてまで得ようとすれば、きっと何かを失ってしまう気がする。
クロロは、何を望んでいるの?」
ジッと見つめても漆黒の瞳は、微動さにせず落ち着いているようにも見えた。