第2章 彼と彼女の情報
「クロロ…それって冗談?本気?!…
蜘蛛の糸が、簡単に切れないなら…その蝶は、いずれ蜘蛛に殺されるわね。
クロロは、飽きたら捨てることはない。
じわじわ追い詰めて、何も残らず食いつくすでしょう?
けど、私が蝶ならその糸から抜けだす事も可能だわ。
だって自分事燃やせばいい…」
震えるルナから怒りなのか、悲しさなのか伝わってくる。
なぜ、そう思う?
俺は・・・こんなにもルナを愛おしいのに。
「ルナ、俺は…捕まえた蝶がルナだったらそのまま生かして、永遠に愛でてるさ。
絡まった糸を落とさぬ様、体事絡ませて逃がさない。
甘い蜜だけ食べさせてずっと己の体が、亡くなるまでずっと傍にいる。
永遠に飽きることはない」
「嘘よ、それは嘘だわ。だって…」
ポロリと零れる涙を拭っても止まらない涙に胸が、苦しい。
「ルナ泣かないで。今言った事は、嘘をついてはいない。
俺は、ルナの事を愛している。
誰にも奪われたくない。
出会ったあの時からずっとこの気持ちだけは、変わらない」
思いを伝えてみても、彼女は不安になっている。
ルナの周りに、アンバラスなオーラが流れている。
このままだと、ルナの心が持たない。
泣かせたくはない…。
そっと伸ばした腕は、彼女の言葉に宙を切る事になった。
「でも…私は、貴方達が手に入れた宝飾品をすぐに売ってた事を知っているわ。
あの眼もそうだったでしょう?」
『あの眼』?
何の話だ?
まさか?…『緋の眼』の事を言っているのか?
なぜ?俺達蜘蛛の事を調べたのか。
彼女は、ハンター協会会長の孫娘。
シャルの調べでは、血がつながっていないと言っていたが。
それでも、彼女の事を家族として大切に迎えられている事は、話しからしてわかる。
近くにいれば、それなりに情報も伝わってしまうのは致し方がない。
所詮俺達は、盗賊だ。
それも今では、Aクラスの賞金首として世に出回っている。
じゃ、緋の眼とルナの関係は?
確かに彼女の眼は、緋の眼と遜色ないほど美しい眼をしていた。
見つめれば、眩い光が見える程美しい翡翠色。
こんなにも彼女に引き込まれるのは、人柄や容姿だけではないが、その翡翠色が心事引き揉まれる要因なのだ。