第1章 夢は夢のまま
「クロロ…それって冗談?本気?!…
蜘蛛の糸が、簡単に切れないなら…その蝶は、いずれ蜘蛛に殺されるわね。
クロロは、飽きたら捨てることはない。
じわじわ追い詰めて、何も残らず食いつくすでしょう?
けど、私が蝶ならその糸から抜けだす事も可能だわ。
だって自分事燃やせばいい…」
彼から言われた蜘蛛の糸。
彼は、蜘蛛の頭、足は団員。
それに連想させるなら、捕まった蝶は飽きて手放すか、それとも何も残らず食いつくされ殺すと言う。
それは少し違う。
今まで愛でいたたものが、一瞬にしてゴミに変わってしまう。
ヒソカもクロロもそれは一緒。
飽きたなら尚更、生かしておくわけがない。
きっと、殺したくなる。
何もなかったように…。
「ルナ、俺は…捕まえた蝶がルナだったらそのまま生かして、永遠に愛でてるさ。
絡まった糸を落とさぬ様、体事絡ませて逃がさない。
甘い蜜だけ食べさせてずっと己の体が、亡くなるまでずっと傍にいる。
永遠に飽きることはない」
「嘘よ、それは嘘だわ。だって…」
ポロリと涙が零れる。
一度流してしまうと達が悪い。
止めようにも止められない。
「ルナ泣かないで。今言った事は、嘘をついてはいない。
俺は、ルナの事を愛している。
誰にも奪われたくない。
出会ったあの時からずっとこの気持ちだけは、変わらない」
「でも…私は、貴方達が手に入れた宝飾品をすぐに売ってた事を知っているわ。
あの眼もそうだったでしょう?」
そう…あの眼の事も知っている。
ある村が、襲来を受けたとハンター協会から連絡があった。
たまたまその近くにいた事もあって、一報聞いた時その村に行く事を祖父に伝えると、一人での捜査を却下された。
それは、かけ出しのハンターだったからと言うのもあるが、最近出て来たならず者を一人で潰せる程甘くはない。
数人で編成されたその者たちは、念の遣い手であり人の命をものとしか見ようとしていない。
欲しいものは、必ず奪いそれを遮る者は、躊躇なく殺す。
その村もすべての村人の眼球は、女・子供も関係がなく残虐的に抜き取られていたと言う。
その話を聞いて心が張り裂けそうになった。
戸惑いも躊躇なく奪われる命に…。