第1章 夢は夢のまま
何度も何度も角度を変え、その度に甘い声が漏れていく。
「クロっまってーんんんっつ、ンッっ、ふぁぁーんんんっーーー」
ルナの甘い声が耳に残る。
抑えきれない衝動に、ルナの綺麗な白い肌に触れたくてたまらない。
「クロ…ロ…うんんんっ、やぁっ…ぁあああっ…」
甘い吐息を吐けば、そのまま首筋から鎖骨に舌を這わせ、ルナの反応を試し見る。
ウルウルとした瞳を見ながら、胸に吸い付くように白い肌につけた花弁。
くっきりついたキスマークは、胸元が空いた服を着ればわかる場所につけた。
俺のものだという証。
本人は、まだわかっていないみたいだが、コレをあいつらに見せたらどんな反応をするのだろうか?
優越感に浸りながらも否応なしに口角が上がる。
だがルナに悟られてはいけない。
ぼっーと見つめてくるルナと瞳が交わる。
彼女の真っ直ぐな瞳は、穢れを知らない。
その翡翠色の瞳が、美しいと何度も思った。
7大美色にも劣らない芸術品。
あの一族を思い出すー
残虐にも緋の眼を奪ったあの日の事を。
感情の起伏により紅く燃ゆる緋の眼が、欲しくて全てを奪った。
初めこそは見惚れていたが、それもつまらなくなり高額値で売っていった。
死んだものとでは違う。
ルナは、生きているー
ルナの眼もまた、あの緋の眼と似て美しい…。
「クロロ…。ス…ッキ…」
小さな声だが、ちゃんと聞こえたルナの可愛い声。
さっきまで考えていた事も忘れ、突然に言われて固まるも嬉しくてたまらない。
心が満たされていくようだ。
「知ってる、俺も大好きだよ。愛してる」
再び唇を重ね、ルナが側にいる事を実感する。
少しの間堪能していると、彼女から不安な感情が流れてくる。
頭を撫でながら抱き寄せ、「怖い?」と聞くが何も言わない。
俺の足の間にすっぽり挟まるように座らせ、ルナを強く抱きしめながら諭すように気持ちを伝えた。
ありのままの俺をみて欲しいから。
きっとルナには嘘は通じないし、他の女が喜びそうな言葉を並べてもきっと届かないと思うから。