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月の花に咲く桜

第1章 夢は夢のまま


「もう、横暴クロロなんて大きっ!」

”大嫌い”も最後まで言えず口を塞がれる。

「その言葉は言うな‼マジで凹むからダメだ」

いつも獲物を捉える瞳とは違って、なんだかいつもの彼とは違う。

「ごめん。いきなりキスしたから怒ってるのか?」

「だっ…っていきなりだと、どうしらいいのかわからない。

なんか…いつものクロロじゃない」

泣きそうになるのを堪え、彼の瞳から眼を逸らしながら、後ろに向きを変える。

「ルナー俺の事嫌いじゃなかったら俺の方見て」

彼特有の甘い声。

どんな女性でもこの声に口説かれたらイチコロでしょう⁉︎

「ルナー大好きだよ。ほらこっち向いて」

ちょっとふてくされてると、背後からクスクス笑い声が聞こえくる。

からかっていることぐらい分かっている。

それでも、耳元で囁かれるから体がビクっとなる。

心臓も痛いくらいドキドキしてる。

今振り向いたらクロロの思うツボ。

「いや、向かない。クロロ面白がってるでしょう?

私は、もういっぱいいっぱいなんだけど」

「うん、知ってる可愛い!」

「本当にいっぱいいっぱいなんだからー」

しまった!振り返っちゃった。

彼と眼が合った瞬間、またドキッとする猫可愛がりしたいって顔してるから。

目線を逸らそうとすると、触れるだけのキス。

「ルナ、からかってないよ。俺の事見て欲しいかっただけ」

もう一度触れるだけのキスをして、離れると思ったらそのまま舌が入ってくる。

「クロっまってーんんんっ、ンッっ、ふぁぁーんんんっーーー」

何度も何度も向きを変えられ、塞がれる唇に息も耐え耐えでぽっーとしてしまう。

そのまま首筋、鎖骨と舌を這われ胸に吸い付くように降り注ぐキス。

恥ずかしいって思うことも忘れて、それはお風呂の熱の所為?それともまっすぐに見つめてくる彼の瞳の所為なのかわからない。

「クロロ…。ス…ッキ…」

自然と出た言葉。

彼は、キョトンとしたが笑顔を見せてくれた。

「知ってる、俺も大好きだよ。愛してる」

再びキスを繰り返す。

色々な女性を相手にしているってわかっているから、逆に何もしらない私は、不安と恐怖があった。

「怖い?」

首を振るが、黒い瞳に自分が映し出され、今は私だけを見てるってわかる。
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