第1章 貴女の隣
昔からね、好きだったの。
5年くらい前かな、気づいたのは。
やな奴だって思ってたけど、気づいたら好きになってたの。
おかしいよね、嫌いだったのに。
会社の同僚なの。
不器用で、優しくて、真面目な人。
似合わない?そうね、だから惹かれたのかも。
からかいあったり、真面目な話も勿論したわ。
企画課に入りたいって言ってて、私もそれを応援してた。
ある程度の業績だして認められないと企画課にはいけないの。
どの会社もそんなもんでしょ。
彼はすごく頑張ってた。
私も彼ならなれるってずっと思って応援してた。
今日ね、彼の昇進祝いをしてきたの。
彼がそれでいいって言うからちょっと飲んだだけ。
素直に嬉しかったわ。でもね、彼が企画課にいくってことは課が変わるの。
そう。もう一緒に仕事ができないのよ。
それでもよかった。彼の夢が叶うなら。
でもね、やっぱり寂しくなっちゃったの。
飲み会終わった後に彼とちょっと話をしたの。
嬉しがってたわ。もちろんよね。
これからも連絡とろうとか、仲良くやろうとか、そう言うつもりだったの。
でもその嬉しそうな顔見たら言えなくなっちゃって。
私とずっと連絡とってたら、彼の邪魔になっちゃうんじゃないかって思っちゃったの。
それで私、おめでとう、ってそれだけ言ったの。
…駄目ね。いつまた会えるかわからないし、もう会えないかも知れないのに。
ほんと、馬鹿ね。