第2章 理由その2
「…ねえマイトさん、あなたの携帯の番号教えて貰えないでしょうか。メールかSNSでもいいですから」
「どうして?」
笑いながら茶目っ気たっぷりにマイトさんが首を傾げる。その仕草がとても可愛い。
思わず笑って私はマイトさんに向かって微笑んだ。
「何だかあなたとは気が合う気がします。もしよければまたお話させて欲しいです」
「そうか。…そうだね。私もとはこれからも話したいな。こちらこそ是非」
きょとんとした後、マイトさんが頷いた。
「良かった」
新しい友人が出来た事に心が躍った。
「じゃあさようならマイトさん」
「ああ。また会おう、」
お互いのアドレスを交換した後、私はマイトさんと別れ歩き出した。
…不思議な人だった。
雰囲気と仕草がとても紳士的で、でも話すと案外子供っぽい。
それになにより一緒に居て楽しい。
オールマイトに憧れる気持ちとは別に、心が温かくなる気がした。
その一方、なんだかオールマイトに通じるものがあったと思う。体格は似ても似つかないのに、あのユーモラスでいて紳士的な仕草のせいだろうか。
「…勿論一番はオールマイトだけど」
そう呟く私の唇は自然と笑顔になっていた。
「おお。美人なお姉さん見っけ」
「…!」
ふと気付ば繁華街の裏道に来ていた。不穏な雰囲気の薄暗い通り、昼間とはいえこの辺は治安も悪い。
「なに」
楽しい気分に水を差されて私は少しだけ不機嫌になる。
「こんな場所に一人で来るなんてさ、ナンパ待ち?」
「いいね、じゃあ俺らと遊ぼっか」
下卑た笑い声を立てるチンピラ風情の男達を冷えた目で見る。
「いいだろ?」
肩に手を回そうとした男の腕を払いのける。
「私、今すごく機嫌がいいの」
「はあ?」
払いのけられた手もそのままで男達がぽかんとした。