第7章 理由after
「…次に会うときには迎えに行くって言って無かったっけ?」
「HAHAHA! 意地悪だね。まあそう言うなよ!」
憮然としてパイプ椅子に座りながら行儀悪く足を組む私に、マイトさんは苦笑いをした。
「腕利きの弁護士付けてあげたじゃない」
「…感謝してます」
「素直でよろしい」
オールマイトの口利きでお世話になった弁護士の在籍する事務所の面接室にて、私はオールマイトこと、マイトさんと再会した。
「よく考えたら逮捕された後も、の面倒事はあるんだよね」
いやあ逮捕して終わりじゃないんだった、おじさんウッカリ! とマイトさんは頭を掻いた。
ヴィランを捕まえた後も勾留、起訴、公判と、処罰の手続きは続く。それら刑事事件の扱いに慣れた弁護士を私に用意してくれたのはオールマイトだった。
ありがたい、とてもありがたいのだけれど。
…あんなにかっこつけて離れたのに、と私は頬を膨らませた。
「まあそれは置いといて」
「置いとくの」
うんうんと頷き、マイトさんは私の向こう側でパイプ椅子に腰掛け指先を組んだ。
「幸いの罪は大した事にはならなかった。弁護士の腕もあるけど略式命令請求の保護観察で済んだんだから」
安心したよ、と言葉通り安堵した様子のマイトさんが頷く。
「そうね…」
私もいいのかなとは思ったが、正直安心したのは本当だ。
個性が蔓延するこの世界、未だ追いついていない部分もあるが法律も次第に変化している。
その一部に、更正の見込みのあるヴィランを善意のヒーローが保護観察するシステムが出来つつあった。今回の私の件が正にそれであるという。そしてその私への善意のヒーローはオールマイトだ。
「オールマイトが保護観察官に名乗り出たんだから、君はもう大丈夫だよ」
だからそのむくれた顔を止めなさい、とマイトさんが笑った。