第7章 理由after
保護観察期間の話や、期間中通わなくてはいけない公共機関(勉強会や元ヴィラン同士の話し合いの会等があるらしい)の説明をされ、期間中の職の話になった時にマイトさんが口篭った。
「…は賠償金の問題がある。君はこれからそれをどうにかしないといけない」
「…はい」
罪自体は保護観察処分で終わったが、私の犯した罪での賠償金はまた別の話だった。
「君の事件で怪我人が出なかった事が良かった。下衆な話かもしれないけど金額が大きく変わるからね」
そう言ってマイトさんが息を吐く。そして、何かを思い出してああ! との方を向く。
「君が叩きのめした男達は正当防衛で済んだから」
まあちょっ過剰防衛気味だけど、とマイトさんが苦笑いをした。
「そんな訳では、賠償金を賄う為にも保護観察中どこかで働かなくてはならない」
「勿論、働くわ」
ヴィランになる前に一端の社会経験はある。どこでも働けるとマイトさんに胸を張った。それは頼もしいとマイトさんが頷く。
「そこで提案なんだけど。は私の所で働かないかい?」
「はい?」
突然の言葉に思わずマイトさんを見返した。
「全額返すまでにおそらく時間は掛かるけど、そこそこの給料は渡せるよ」
「ちょ、ちょっと待って! オールマイトの事務所は休業の筈でしょ!?」
慌てて言い返すがマイトさんは動じず、言葉を続けた。
「には雄英に来て貰おうと思って」
「!?」
オールマイトが雄英高校の教師になるというニュースは今年世間を席捲したばかりだ。その話はマイトさんと既にしていた事も覚えている。
「私が雄英でもう一回高校生やるのはちょっと無理があるわ…」
「何言ってんの?」
は冗談が上手いなHAHAHA! と愉快そうに笑いながらマイトさんは私を指差した。
「雄英で私の助手をして貰う。雄英の校長にはもう許可は取ってあるよ」
「助手…」
一旦はヴィランと名乗り、こうして逮捕までされた私が。雄英教師の、しかもオールマイトの助手?