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理由【ヒロアカ】

第6章 理由その6



「しかし大振りすぎだ」
私の足は確かにオールマイトの脛に当たった。けどオールマイトは倒れなかった。それ所か微妙にすら動いていなかった。
「痛っ!!」
反対に私の足が鋼鉄を蹴ったのかと思うくらい痺れる。反動でごろごろと地面に転がった。

…甘い考えだった事にすぐ気付いた。
平和の象徴とまで言われるヒーロー・オールマイトに一瞬でも勝てると思ったのが間違いだった。翻弄して逃げ回るくらいの事なら私にだって出来たのだ。でもこうして一対一で戦って勝てる訳が無い。
だって彼はオールマイトだ。私が憧れに憧れて、自分の人生まで歪ませてしまった相手なんだから。

蹴りをした左足が熱い。ひょっとしたら折れているのかもしれないが構う気にはなれなかった。脳天まで痺れた頭を振り体を起こす。
起き上がるのに裂け目が邪魔だったスカートを上まで裂いた。下着ぎりぎりまで裏地ごと布を裂くとオールマイトが眉を顰める。
「女の子がそんなに足を出しちゃいけないな」
「…まだ女の子扱いしてくれるの?」
「当たり前だろ、君は女性だ。…私には勝てないよ、」
ふっと力を抜きオールマイトが蒸気を上げる。瞬いている間に彼の姿が痩せ、マイトさんが姿を現した。

「私はね、」
体を起き上がらせた私に向かって屈み、オールマイト…マイトさんが顔を覗き込む。
「。私は君のものになってもいいんだよ?」
「マイトさん…」
「ああ、やっぱり君にそう呼んで貰えると嬉しいな」
マイトさんはほっとしたように微笑んだ。体を起こすのを手伝ってくれてからマイトさんは私の手を取る。そして私の頬に貼りついた髪を優しく払った。

オールマイトからマイトさんになって彼は雰囲気が変わった。戻ったと言ってもいいのかもしれない。
初めて出会った時のマイトさんの印象が目の前と被る。彼はいつでも優しかった。

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