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理由【ヒロアカ】

第1章 理由その1



でもオールマイトに会うのはなかなか大変だ。オールマイトの活動範囲はそこまで広くはないし、ヴィランが現れる場所にたまたま居合わせるなんてそう出来る事じゃない。
そしてその現場にオールマイトが現れるなんて奇跡は無いよね。
ヒーローになればいいって? ううん、それは無いな。
だってオールマイト以上にかっこいいヒーローなんていないもの。それが自分でもきっと無理。

だったらさ、って私は考えた。
・・・というかこれしか無いよね?

そう、ヴィランになればオールマイトに会える! 
ちょっと常識とか罪悪感とか正義感とかが足りないのかもしれない私は、その日から計画を練り始めた。

犯罪を犯すという事に何故か抵抗が無かった私は、ヴィランに向いているのかもしれない。
これは犯罪だ。でもそこに罪の意識は無い。
私の個性は足の超怪力。地団太を踏むと大地にヒビ程度だけれど、ちょっとオールマイトっぽいところも気に入ってる。
個性故の丈夫な足で飛び上がるとこの廃ビルくらいなら飛び越せるし、この個性でビルを回し蹴りしたら一発で倒壊させる自信がある。
普通の人間が持ち合わせている筈の罪の柵を、私はあっさりと飛び越えてしまった。



野次馬の歓声が上がって、私は意識をそちらに向けた。
「――私が来た!!」
「!!」
その頼もしい声が、上がる歓声と共に大柄な男を現した。私も興奮の余り息が荒くなる。

「…オールマイト!」
来た! 来た来た!!! あれこそがオールマイトだ!
オールマイトを目視した私は全身に鳥肌が立つのが分かった。初めて生で見るオールマイト! かっこいい!!

「私が来たからもう大丈夫! しかし万が一を考えて皆を避難させてくれ!」
オールマイトが警察に指示を出している声が聞こえる。
私は身構えた。オールマイトは事件をスピード解決する傾向が多い。巨体に似合わないあの素早さでヴィランを攻撃し捕らえるのがオールマイトだ。
スピード解決なんてそんつまらない事はしたくない。せっかくヴィランになったというのに。廃ビルの壁に足を掛け、私はヒーローを見下ろした。
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