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理由【ヒロアカ】

第3章 理由その3




眼下に次第に警察が増えてきた。レールを伝いこちらに向かって来るヒーローもちらほら現れている。
「…残念ながらそろそろ時間ね」
「! キミの目的は…!?」
オールマイトが呼ぶ私の名にぞくぞくする。
「内緒」
恋だなんて伝えてしまうのはまだ勿体無い。しいっと口に指を立てて口角を上げる。
私はまだまだ貴方に会いたいのだから。

困惑している様子のオールマイトに向かって笑い声を上げ、私は体を斜めに構えた。何かのモーションだと思ったのかオールマイトも身構える。
レールからリズミカルな足音を立て、私はオールマイトを見た。
「優しいオールマイト。私がジェットコースターのレールの上に居るから、SMASH出来ないんだよね?」
「ンン…それが分かってるならそこから去って逮捕されなさい」
「嫌よ。そうしたらもうオールマイトに会えないじゃない」
「…キミは一体」
「またね、オールマイト」
怪訝な顔をしているオールマイトに微笑み、オールマイトに向かって空中を蹴った。
「!!」
爆風。私の渾身の蹴りはとてつもないスピードの風を起こせる。今日初めて知ったけど、その風圧はオールマイトですら足止め出来るほどだった。
かつかつと音を立てレールを走る。一瞬立ち止まったオールマイトだけどすぐに体勢を立て直して私を追い掛けた。

「待ちなさい! 今日も煙幕で逃げるのかい!?」
「違うよ」
たん! とレールから飛び降り、遊園地の景色に溶け込むように用意してあった着ぐるみの持つ大量の風船の束を手に取った。
「これあげる」
私に追い付きそうになったオールマイトにそれを差し出し、ぱっと離した。急に目の前に現れ散る色とりどりの風船にオールマイトが目を見開く。


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