第3章 蛇喰夢子という女
此処は私が早乙女芽亜里とギャンブルをして負けた場所……。
その時と同じ椅子に夢子は腰掛けていた。
「どういうギャンブルなんですか?」
「"投票ジャンケン"って言ううちのクラスオリジナルのギャンブルなんだ!まず、クラスの皆にそれぞれ"グー"、"チョキ"、"パー"のどれかをカードに書いてもらって。んで、そのカードを私達に見えないように箱に入れてもらう。私達は箱から3枚カードを引いて、その中から1枚だけ選んでジャンケンする。あいこなら残りの2枚から1枚選んでもう1回ジャンケン。3回ともあいこなら"引き分け"ね。ここまでがワンセット。普通のジャンケンと違って、全部の手を出せるとは限らない。そういう不平等なところの読み合いが面白いんだよね!」
「楽しそう……!是非やってみたいですっ!」
「オーケー!そうこなくっちゃ……!」
蛇喰さん、いきなりそんな無茶だよっ……!
この勝負無理に受ける必要なんてないのに!
『あの、蛇喰さん……っ「ミケぇ?……、チップ持ってきて」』
余計な事を言わせないように言葉を遮られる。
私は、家畜だ。
彼女、早乙女芽亜里の奴隷だ……。
私が彼女に反抗する権利は"無い"。
『うっ……!』
芽亜里に首のタグを引っ張られる。
「"持ってきて"」
『……、はい』
私は彼女には逆らえない。
夢子はそんな2人のやり取りをその妖しい瞳に映していた。