第3章 蛇喰夢子という女
「(ボンボンの馬鹿娘が……ッ!舐めやがって……ッ!!)」
何なんだ……、ついさっき転校してきてこんな無茶苦茶な勝負して……っ!
何でそんな、平然としてられるの……?
「ふっふふっ……!大きな勝負は心が湧きますよねっ?」
「チッ……、(呑気にしやがって……。1000万だぞ……っ!分かってるのか……⁈まぁ、いい……。どうせ私が勝つんだ。だって……、投票者30人中、21人までが私の有利になるよう、投票するんだもの……ッ!借金の肩代わりや教室での立場、理由はそれぞれだが、とにかく21人の奴隷は毎回私の思うように投票する。今回はグーとパーだ……。そうすれば確率的にいって箱の中はこんな感じになる。……、チョキが殆ど無い!仮に蛇喰が引いても出す確率がさらに低くなるから、私はパーを出しておけばまず負けない、という事だ。……、不安なのは、こちらがパーを引けない場合、だが……)」
芽亜里はカードを開いて自分の手の内を確認する。
「(……、パーが2枚……ッ!!ほぼ理想手ッ……!!勝った……!これでお終いだッ……!!)」
夢子がチョキを引ける確率は極僅かだと、芽亜里は改めて自分の勝利を確信した。
「出す手は決めた?始めていいかしらっ?……、どうしたの?3枚しかないんだから、そんなに迷っても仕方ないでしょ……?」
「気づかないとお思いですか、」
「あ?」
「皆様、早乙女さんにご協力なさっているのでしょう?」
「……っ!」
『……!』
夢子にイカサマがバレた芽亜里の協力者達は皆、罰が悪そうな顔をしていた。
「今までの投票からいって全員、という事はないでしょうが、10人か……、万全を期すなら20人、というところでしょうか……」
「な、何を根拠に「やり方が汚いんです」」
「貴方は50万が懸かった大勝負では、2回とも連続で同じ手を出した。"何かある"と思うのが当然でしょう?賭け金が低い時は適当な手を混ぜていましたが、カモフラージュとしては"下策"でしたね」
なっ……!
このゲームのイカサマは全て、彼女にはバレていたというの⁈
という事は、私の事も……、