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The one that got away.

第11章 父と娘





崩れていく壁とだんだんと曇っていく視界に無意識に舌打ちをする。そしてスクリーンに映し出されているのは75%の文字


『そろそろ出てきてくれてもいいんじゃない?早くしないと終わってしまうんじゃないかしら』


ルージュの名に相応しいように、とよくナターシャに言われてきた教え。その通りに相手を挑発する口調で話す


『あら、これでもダメなの?仕方がないわね…じゃあ』


焦るな、と自分に言い聞かし、そして大きく息を吸う


『貴方の娘さんの話でもしましょう、天才ハッカーさん』


そう、これが今持っている唯一の切り札。これに食いついて来なければもう…


《お嬢さん、お若いのによくご存知で》


機械音がなったと思えば目の前には白衣を着た中年男性のホログラムが


『やっぱり…貴方が仕組んだことだったんですね』


最初から変だとは思っていた

何故世界的天才ハッカーが意図も簡単に日本のヒーローに捕まったのか

そして捕まった後わざわざアメリカに戻されるまで大人しくしていたのか

どうしてアイアンマンの……凛の目の前で自殺をしたのか


『全て…計画のうちだった?』


彼を雇っていた大企業の社長がすぐに捕まること

そしてこのビルで爆破を起こしたこと


『貴方が自身を殺して…AIとして生きることも』

《……驚いたよ、そこまで分かっているなんて》


嬉しそうに目を細めら男を恐ろしいと率直に思う。死んでもなお怨みを晴らそうとするその執念が?いや違う、死への恐怖を感じないその心が…怖い


『そこまでして貴方は娘さんの復讐をしたかった?』

《復讐?……無論だ、娘の為にと思っていたよ…初めはね。だが状況が変わった…何故だが分かるかい?それは君が居たからだ』

『私?』

《あぁ、君だ。僕はね、ずっと待っていたんだ》


僕自身を理解してくれる

賢い人物が現れるのを何年も前からね


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