第14章 Come Back
「着いたぞ」
『…』
「おい聞いてんのか……はぁ」
楽しい飲み会も終わり次々に皆んなが帰っていく中、私はというと爆豪君の車に乗り帰宅。久しぶりにまともにお酒なんかを飲んだから頭がふわふわして何だか変な気分だ
ドアを開けてくれた爆豪君はフラつく私の腕を引き部屋の中へと引きずるように連れて行く
「水飲んだら風呂入れ、んでさっさと寝ろ」
差し出されるコップに入った一杯の水をじっと見つめる。受け取らない私に痺れを切らしたのか爆豪君は舌打ちをした後に私の手を掴み無理やり持たせた
『ばくごうくん』
「何だよ」
彼の顔を見て先程の居酒屋での爆豪君と麗日さんを思い出す。やっぱり聞いてみたい。2人って本当にただの同級生?本当は…
『……今日はありがとう、すごく楽しかった』
「……そうかよ」
『じゃあ、おやすみなさい』
「あぁ、」
パタンと閉まる扉の音を聞きソファに背を預け水を一気に喉に流し込む
結局いつまでたっても私の根本は変わらない
彼と彼女の関係に嫉妬して聞きたかったことがあったのに聞けなかった。爆豪君に幻滅されたくなかった。彼の前だけでは聞き分けのいい女でいたい。本心を知られるくらいならいっそのこと、
『身勝手だなぁ』
本当に自分自身に嫌気がさす、けどそれも今日で終わりだ。テーブルに置いていたチラシに向かってペンを動かす
『……よし、』
爆豪君と夢のような時間を過ごさせてもらった。雄英のみんなともたくさん話すことができた。それだけでもう充分過ぎるほどの思い出だ
瞬間移動で自室へと入り、ロッカーから前もって準備していたスーツケースを取り出す。そしてなるべく音が鳴らないようそれを抱え目を瞑った
『バイバイ、かっちゃん』
その蒼い目から溢れたのは、一体何だったのかは気づかないふりをした