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The one that got away.

第9章 ファントム・ルージュ





コツコツとヒールを鳴らしながら凛はピーターと爆豪に近づき尋ねた


『どっちから行く?それとも二人一緒でいい?』

「……なに言ってるの?」


うーん、と考えるそぶりを見せる凛にピーターは戸惑いの声を上げたと共に額に汗を流した


『何、って?』

「…二人ってどういうこと?ボクはキミと此処に残る。そうだろ?」

『んんー。そうだっけ?』


と、とぼける凛の腕をピーターは掴んだ


「……そうだろ。ボクとリンでこの任務を"最後まで”遂行するって決めてたじゃないか」

『ピーター、腕を離して』

「…先には行かないよ。ボクは絶対にリンを置いていったりしない」

『ピーター!』


咎めるような凛の声にピーターは一度大きく肩を震わせたが、それでも凛の腕を離さないどころか返事の代わりのように強く握り返した


「っ今回ばかりはリンの言うことは聞かないよ!だってそうじゃなきゃキミはきっと……!?」


キッとピーターが凛を睨みかえそうとした、だが目の前には既に凛は居なかった。そして掴んでいた腕が無くなっていたことに気がついた


「……リン…っ!!」

『…ごめん』


後頭部に強い痛みを感じたピーターは自身の愛称を優しい声色で発するのを聞いた。そしてそれを最後に意識を手放した

バタリと倒れたピーターに凛が触れた。そしてピーターの身体はその場から消えた


『……』


何もなくなったその場所に膝をついた凛だったが、ゆっくりとした動作で立ち上がった

そして先程から一言も言葉を発していない目の前の人物の赤い瞳を見つめた


残るは、あと一人


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