第9章 ファントム・ルージュ
「おいテメェが」
「!!」
『爆豪君、怯えてる』
凛に抱っこされ彼女にしがみついている女の子。爆豪が覗き込むように見るとビクッと体を震わせた
女の子は身体中を煤まみれにしていて凛の真っ白なドレスを黒くさしている。だが凛はそんなことは気にもせずに女の子の頬を撫でた
『元々こういう顔の人なの、気にしないで』
「失礼にもほどがあんだろーが!」
すると女の子はホッとしたかのように二人のやり取りに笑みを浮かべ凛の胸に顔を埋めた
そんな様子を見てピーターや緑谷は優しい眼差しで凛を見た。そしてそれに気がついた凛はばつが悪そうに言った
『来てくれてすぐで悪いけど、この子のことお願い』
「お願いって…お前はどうするんだ?」
「そうだよ、何より似た個性の凛ちゃんがその子の側にいた方が安心するんじゃないかな」
緑谷たちから見ても女の子を見つけ出したのは凛だ。その証拠にその小さな手で必死に凛にしがみついている
「そうだよリン、キミがこの子を連れて行った方がいい…後はボクがやるよ」
ね?と言うピーターに凛は首を横に振った。そして女の子の脇に手を入れ顔を合わせた
『空ちゃん、お兄さんたちと一緒にお母さんのところ行こう』
「…おねえちゃんは?」
『お姉ちゃんは……まだお仕事あるから』
そう凛が言った瞬間、言葉の意味を理解したのか女の子は大きな目をさらに見開きながら声を上げた
「…やだ、やだやだやだ!」
『空ちゃん、お願いだから』
「やあーだぁー!」
凛が宥めるような声で女の子に話しかけるがとうとう女の子は涙声になり目から大粒の涙が溢れだした
「おねえちゃんがいっしょじゃなきゃやだぁ!!」
余程凛に懐いていたのか、わんわんと泣き出しまたしがみつこうとした。するとその首根っこを掴むように爆豪が女の子を持ち上げた
「おいガキ」
「っガキじゃない!」
「いつまでも抱っこされてる奴の何処がガキじゃないんだ。ガキじゃねえんなら赤ん坊か?あ?」
「!っうぅ~」
首根っこを掴んでいた爆豪が女の子と顔を合わせた。そしてキッと睨み付けてくるその瞳を見た